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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

131129:2005/09/09(金) 21:40:34
ありがとうございます。
お言葉に甘えて投下させてもらいます。


それはある日のこと。ピースの2人がまだコンビを組んで間もない頃の話である。
劇場で行われる笑いの戦いを征し、見事今日をもって500円芸人の肩書きを手に入れた
2人は楽屋にいた。周りの後輩芸人には「おめでとうございます」と祝ってもらい、先輩
芸人には「今日はおごってやる」と声をかけてもらった。
「やったなぁ!マタキチ!」
綾部もちろん上機嫌だ。いつものうんさくさい笑顔を全快にしている。
「やったな。」
又吉は言葉少なく返した。
「なんだよマタキチ。やっと勝ったのに。どっか具合でも悪いのか?」
綾部は相方のいつにも増した無口さに心配して顔をのぞきこんだ。
フイとバツの悪そうな顔をして又吉はそっぽを向いた。その顔を見て綾部に嫌な予感が走った。
「もしかしてお前昨日また石を・・・!」
そう綾部が声を荒げた瞬間だった。楽屋にいる芸人達が一斉にこちらを見た。
そして空気はピンと張り詰めた。若干睨んでいる人間もいるような気がする。
「いっ石を・・・持って帰ったのか〜?しかもそのへんに転がってるなんの変哲もない石を!
マタキチはホントに変なもの集めるなぁ!」
綾部は苦し紛れにうわずった声で意味のわからない言い訳をした。周りの芸人がそれで治
まるとは思えない。しかし芸人達はまた自分達の話に戻った。
張り詰めた空気は作られたなごやかさに変わった。
「アホか。こんなところで、石について大声出すなや。」
「ごめん。で・・・また昨日、石を使って戦闘したんじゃないのか?」
又吉はまた目線を逸らした。
「えぇやんけ別に。俺は白や。黒が襲って来てもしゃーない。
それに白として戦わなあかんやろ。」
「あのなぁ・・・!」綾部はまた声を荒げそうになったが、
我に返り一息ついて小さな声で言った。
「俺は石持ってねぇから白とか黒とかよくわかんねぇけどさ・・・お前が怪我したりすん
のは嫌なんだよ。」
お前を助けることも出来ないんだ。続けて小さくつぶやいた。
又吉はうつむいたまま黙った。
綾部は石を持っていなかった。又吉と同じだけ芸人として活動してきたが、自分に石は
やって来なかった。それは運のいいことだと思っていた。しかし相方や仲間の芸人達が戦
い傷つくのを指をくわえて見ていなければならなかった。

戦いに巻き込まれたくない。

でも大切な人達を守りたい。


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