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念を使わせてみよう小説スレッド

971:2004/11/25(木) 18:32

「というか私には理解不能です。
 狐さんにこれほど良くして貰って、何が不満なんですか?」
 不思議そうにしぇりーちゃんが訊ねる。
「不満は無いけど…
 その、えーっと、僕としては、あの人とは対等な立場でだね…」
 見下されたくない。
 哀れまれたくない。
 情けをかけられたくない。
 僕を、一人前の一人の人間として見て欲しい。
 そんな事は、ただの我侭というのは分かっているけど。
「…狐さんの事、好きなんですか?」
 …………。
 ……………………。
「わはははははは!
 おもれーこというなーおめー!!」
 動揺のあまり口調がかなり変わってしまった。
 ストレートだ。
 160kmストレートど真ん中の直球だよ、しぇりーちゃん。
 その剛速球に僕はもうノックアウト寸前だ。
「ま、薄々感づいてはいましたけどね。
 ですがそれなら…」
 すっと、僕を指差すしぇりーちゃん。
「やっぱり、お兄さんは私の敵です」
 敵?
 何でさ?
 こいつまさかまだ僕を殺すのを諦めてなかったのか?

「そういえば、しぇりーちゃんと狐さんはどこで知り合ったの?」
 かなり気まずくなったので、僕は話題を変える事にした。
「仕事です」
 仕事。
 それってやっぱり、一般の中学生としての仕事ではなくて―――
「…しぇりーちゃんは、その、いつから仕事を……」
 そこまで言って僕は後悔した。
 僕は何て事を聞いてるんだ。
 こんなの、僕が訊ねるべき質問じゃ無い。
「二年前です」
 二年前って、今でもまだ十分子供なのに、そんな小さい時からあんな事を!?
 していたのか、
 させられていたのか、
 したかったのか、
 したくなかったのか、
 どっちでもなかったのか、
 どうでもよかったのか。
「…?
 ああ、余計な同情なら結構ですよ。
 別に、私は私の仕事にさして何たる感慨はありませんから」
 事も無げに、しぇりーちゃんは言った。
 何の感慨も無い?
 嘘だ、そんなの。
 そりゃあ、今はそう思えるのかもしれない。
 だけど、君にも最初の頃はあった筈だ。
 その時にも、君は本当に何も感じなかったのか?
 感じないように、育てられていたのか?
「お兄さんには理解出来ないでしょうけど、
 『禍つ名』ってのは、そういう領域なのです。
 そういう世界なのです」
 殺す。
 理由さえ有れば、理由さえ無くとも、人を、人でなくとも。
 それが『禍つ名』。
 それが『人吊詩絵莉』。
 そして多分狐さんも。
 地獄。
 正にこの世の地獄だ。
 血で血を洗い、死で死を贖う、血と死で血に塗れた死に塗れな、
 魑魅魍魎が右往左往に東奔西走へ跳梁跋扈な掃き溜めの世界。
 命など、そこには微塵の価値も無い。


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