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念を使わせてみよう小説スレッド

961:2004/11/25(木) 18:31
 〜十五話〜

 僕はしぇりーちゃんと二人、ホテルの部屋の中に取り残されていた。
 ホテルに女子中学生と二人。
 こんな事が他の人にバレたら、僕の経歴に大きな傷がつくのは間違い無い。
 で、今何でこんな状況に陥っているのかというと…

『今日はちょっと出かけてくるから』
『どこに行くんですか、狐さん?』
『仕事だよ、仕事。
 そろそろ資金が心許なくなってきたんでな。
 この部屋を追い出されないうちに稼いで来なくちゃならねえ』
『…すみません』
『馬鹿、気にするなって。
 …元はといえば、少年がこんな所に来る事になったのは、俺の責任でもあるんだからな』
『…! それは、違―――』
『ま、君は漫画でも読んでくつろいでてくれよ。
 護衛にしぇりーを置いておくからさ。
 あいつが一緒なら、何があっても大丈夫だろ』
『はあ、それはそうですが、しかし…』
『心配すんなって。 もうお前の命を狙ったりはしねえよ』
『そっすか』
『万が一の場合、避妊だけはちゃんとやっとけよ』
『うるせえ黙れ』

 …と、こういう経緯な訳である。
 まあまるっきり当然な事なのだが、
 こんな豪勢な部屋に泊まってれば、相応の金もかかるというものである。
「……」
 チラリ、と横目でしぇりーちゃんを見てみる。
 しぇりーちゃんは僕などそ知らぬ顔で、『スーパーマリオブラザーズ2』に興じている。
 しかし先日まで命を狙われていた殺し屋に今度は命を守られてるなんて、
 よくよく考えてみれば凄い経験だよなあ。

「……」
「……」
 か、会話がねえ…
 何でか僕しぇりーちゃんに嫌われてるみたいだし、
 だとすればあまりこちらから話しかけるのも迷惑なのではと思ったが、
 流石にこのままでは空気が重過ぎる。
「…やっぱ、バイトでも探したほうがいいのかなあ」
 沈黙に耐え切れず、僕は呟いた。
「いきなり何を言い出すのですか、お兄さん?」
 聞き返すしぇりーちゃん。
「だってさ、ほら、僕のこの今現在の立場って、まんまヒモ同然じゃん」
「ようやくそんな事に気づきましたか、この登校拒否」
「うるせえ死ね」
 登校拒否とは失礼な。
 いや、実際それと同然ではあるけどさあ。
「ですけどバイトなんて無理でしょう。
 命を狙われてるのに、呑気に仕事するなんてどこの白痴ですか」
 お前こそ前まで僕を殺そうとしてたじゃねえかよ。
「いや、だけどさあ、このまま狐さんにおんぶに抱っこってのはちょっと。
 一応、僕にも男としてのプライドっていうか何と言うか…」
「本当にプライドがあるなら、
 黙ってここから出て行ってる筈なのです」
 ぐはあ、クリティカルヒット!
 急所に当たった!
 効果は抜群だ!
「いっすよいっすよ、どーせ僕は、どーせ僕は…」
 床に指で文字を書く僕。
 事実その通りだけどさあ。
 もっとオブラートに包んだ言い方ってもんがあるんじゃない、しぇりーちゃん?


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