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念を使わせてみよう小説スレッド

951:2004/11/24(水) 20:00



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 夜の街角の外れを、一人の男が歩いていた。
 羽織に袴、それから腰に下げてある大小の刀といったその出で立ちからは、
 まさしく現代に蘇った侍といった印象を与え、
 どうしてこんな格好をして警察に捕まらないのか不思議なくらいである。
 兎も角、そんな時代錯誤も甚だしい容貌の男がそこにいる。
 それだけは確かな事であった。
「……」
 突然、侍が足を止めた。
 その後方には明らかに正気を失っている様子の男が一人、
 攻撃意思を隠そうともせず侍の後ろに佇んでいる。
「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
 男が、背中を向けたままの侍に襲い掛かった。
 その速度は、常人のそれではない。
 それでも侍は、何ら動揺する素振りすら見せなかった。
「…未熟」

 瞬閃。

 振り向きもしないままに、侍が後ろから飛び掛かって来た男を両断した。
 刀を抜いた瞬間も見えなければ、納める瞬間すら視認出来ない程の早業。
 その姿は一種の芸術のようですらある。

「サスガハ『獣死』ノ『ギコ侍』、『獣死三羅腑(じゅうじ さぶらふ)』。
 ミゴトナオテマエデス」
 ギコ侍が真っ二つにしたばかりの男の死体から、
 変声機で元の声を判別出来なくした声が聞こえてきた。
 どうやらポケットに無線を入れておいてあったようである。
「誰だ、貴様は」
 日本刀のように鋭い声で、ギコ侍が言い放つ。
「シツレイ、モウシオクレマシタ。
 ワタクシ、『冥界の支配者(ネクロマンサー)』トモウスモノデス」
「…連続猟奇殺人事件を起こしている輩か。
 こんな悪趣味な使いまで寄越して、拙者に何の用だ?」
 刀に手をかけながら、ギコ侍が注意深く尋ねる。
「デハサッソクホンダイニウツリマショウ。
 アナタニハトアルジンブツヲコロシテイタダキタイ」
 変声機で変えられた声が、不気味に夜の暗がりに響く。
「断る。
 我が剣は、暗殺の為に磨いている訳ではない」
 二つ返事で断るギコ侍。
「…ソノトアルジンブツヲ、アノ『外法狐』ガゴエイシテイルトイッテモ?」
「……!」
 『外法狐』という単語に、ギコ侍の表情が一変した。
「…面白い。
 あの最強の体現者と死合う事が出来るというならば、
 その話、乗ってやる」
 ギコ侍が戦いの悦びに打ち震える戦鬼の笑みを見せる。
「ドウヤラ、コウショウセイリツノヨウデスネ」
 無線から聞こえる声は、変声機を通していながらも愉快そうに聞こえるのであった。


              〜続く〜


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