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念を使わせてみよう小説スレッド

851:2004/11/23(火) 15:59

「あ…」
「あ…」
 僕達はお互いに顔を見合わせて言葉を失った。
 今気づいた。
 そっくりなのではない、本人その人なのだ。
「アッヒャーーーーーーーーー!」
 いきなり、アヒャさんが二本の剣を狐さんに向けて構えた。
「外法狐…!」
 フーンさんも、即座に懐から拳銃を抜いて狐さんに照準を合わせる。
 忘れてた。
 狐さんもまた、ハンターの禁忌である『禍つ名』の一員だったのだ。

「物騒な物はしまえよ。
 サインが欲しいんなら、出すのは得物じゃなくて色紙だぜ?」
 二人の闘気を正面から受けながらもなお、狐さんは平然と言い放った。
 蚊帳の外にいる僕ですら押し潰されそうなこのプレッシャーも、
 狐さんにとっては涼風も同然といった感じである。
「貴様が、どうしてここに…!」
 交通事故にでも遭ったかのような顔つきで、フーンさんがジリジリと後退する。
 アヒャさんも退がってこそいないものの、その表情は微かに引きつっていた。
「どうしたもこうしたも、俺はこの少年と逢引(デート)の最中でね。
 ちょっとショッピングに立ち寄ったのさ。
 それが、お前さん方に何の問題がある?」
 あれってデートのつもりだったのか…
 それにしては、武器屋でショッピングなんてあまりにもムードに欠けるのではないだろうか。

「あ、あの、お客様、店内での抜刀行為は遠慮して頂きたいのですが…」
 物陰から、店員さんが恐る恐る声をかけた。
「ほら、店主も迷惑してるじゃねえか。
 得物をしまえ。
 いいか、三度目の忠告は無いと思った方がいいぞ?」
 狐さんが低い声で告げると、アヒャさんとフーンさんは静かに武器を下ろした。
 意地を張って狐さんと一戦交えるのがどれ程愚かな事かなんて、考えるまでも無い。

「理解が早くて助かるよ」
 さっきまでの緊張をほぐすように、狐さんはにっこりと微笑んだ。
「それと、どうやらこの前この少年を助けてくれたみたいだな。
 礼を言っておくよ。
 俺の友達が世話になったな、ありがとう」
 そう言ってフーンさん達に頭を下げる狐さん。
「あ、あの、本当にありがとうございました」
 狐さんだけに頭を下げさせる訳にはいかないので、僕からも頭を下げてお礼を言う。
「いや、別に構わないが…
 しかし驚いたな。 まさか君が、外法狐と知り合いだったとは」
 心底意外そうにフーンさんが呟いた。
「はあ、まあ、色々ありまして…」
 色々、そう、本当に色々な事があった。
 あり過ぎて、とても一言では説明出来ない。

「そういや、お前らも連続猟奇殺人事件の犯人を追ってるんだって?」
 狐さんが訊ねた。
「ああ、そうだが…」
「なら、丁度いい。
 ここで会ったのも何かの縁だ。
 率直に言おう、手を組まないか?」
「手を、組む?」
 狐さんの申し出に、フーンさん達は返す言葉が無かった。
「そう、共同戦線を張るって事だ。
 実は、俺達もその犯人を追っててね。
 人手が欲しいと思っていた所なんだ。
 そっちにとっても悪い話じゃないと思うんだがな」
「いや、しかし…」
 フーンさんが口ごもる。
「アヒャ、イイジャネエカ!
 ソッチノホウガオモシロソウダ!」
 了承の言葉を口に出したのはアヒャさんだった。
「…分かったよ」
 何を言っても無駄という事が付き合いの上で分かっているのか、
 フーンさんもあっさりアヒャさんの意見に承諾する。
「決まりだな。
 もうすぐヤサに俺の相棒が来る頃だ。
 詳しい話はそこでするとしようぜ」
 狐さんとフーンさん達が、同盟結成の証である握手をがっちりと交わした。


                〜続く〜


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