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念を使わせてみよう小説スレッド

831:2004/11/23(火) 15:59

「いらっしゃいませ」
 店の中に入るやいなや、いかにもジェントルメェンといった感じの老紳士の店員が僕達を出迎えた。
 店の中はいかにも整然としていて、壁にはよくわからんがとにかく凄そうな絵がずらずらとかかっている。
 あの、僕達、思いっきり場違いといった感じなんですけど…

「岸部露伴の最新作を見たいんだけど」
 狐さんは店員にそう告げ、何やら一枚のカードを見せた。
 何だ、あのカード?
 ハンター…ライセンス……って書かれているのか?
 てか岸部露伴って誰だよ。
「かしこまりました。 それではこちらに…」
 店員が僕達を店の奥へと案内する。
 僕は訳も分からないまま、黙って店員と狐さんについて行った。
「こちらでございます」
 連れて来られたのは、押入れのような部屋だった。
 高そうな壷やら何やらがごちゃごちゃと置かれているが、
 悲しいかな僕にはその価値は全く分からない。
 所詮は小市民に過ぎないという事か。

「……!」
 と、いきなり部屋がガクンと揺れた。
 地震か!?
 いや、部屋がエレベーターのように、下に動いている!?

「お待たせいたしました」
 ある程度下に移動した所で部屋の動きは止まり、店員がゆっくりと入ってきたドアを開けた。
 一体、ここになにがあるって―――

「……!」
 僕は目の前の光景に息を飲んだ。
 先程のちっぽけな美術展の様相とは打って変わって、
 そこには今まで映画の中でしか見た事が無いような類の物品が陳列されていたからだ。
 具体的に言えば、武器や兵器。
 拳銃からアサルトライフル、果てにはバズーカや刀剣類に至るまで、
 ありあらゆる武器がずらっと並べられている。
「ご来店ありがとうございます、外法狐様。
 あなたの程の高名な方にお越し下さって頂き、光栄の至りです」
 丁寧に会釈をする店員。
 狐さんって、結構有名人だったんだ。
「お世辞はいいよ。 礼なら商品を買った後で言ってくれ」
 苦笑する狐さん。
「左様ですか。
 それでは本日はどのような得物が御入用で?
 どのようなリクエストであろうと、満足できる品を提供できると自負しておりますが」
「ああ、得物が入るのは俺じゃない。
 俺は素手で戦う主義だからな。
 今日ここに用があるのはこいつさ」
 狐さんが僕の方に顔を向ける。
 え?
 僕ですか?
「…?
 しかし、この方はどうみても素人のようにしか…」
 明らかに狐さんやこの店員さんとは住む世界が違うであろう僕を見て、店員さんが訝しむ。
 僕も、何でこんな所に居るのか理解に苦労する。
「お前さんの店は、客を選り好みするのか?
 それとも、俺の友達ってだけじゃ信用出来ないと?」
「め、滅相もございません!
 失礼いたしました、どうぞごゆるりと得物をお選び下さい」
 半ば狐さんに脅される形で、店員さんがすごすごと後ろずさっていった。
 どんな系統の店であっても、お客様は神様という事らしい。


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