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念を使わせてみよう小説スレッド

781:2004/11/23(火) 01:35



「…狐さん、ちょっと、いいですか?」
 一段落した頃、僕は狐さんにずっと聞きたかった事を訊ねる事にした。
「何だい?」
 洗い物を終えた狐さんが、椅子に腰掛ける。
「…教えて下さい。
 この街の、連続猟奇殺人事件の真相ってやつを」
 短く、僕は告げた。
「…これは君が」
「君が知るべき事ではない、とは言わせません。
 殺されました、僕の家族が。
 僕はもう、無関係ではありません。
 僕には、知る権利と義務がある筈です」
 僕は正面から狐さんの目を見据えた。
 もう、引き返すだの引き返せないだの言っている事態ではない。
 何としてでも殺人鬼の正体を暴き出して、殺す。
 偽物の身とはいえ、僕は家族の仇を討たねばならない。

「…どうやら、はぐらかしても無駄みたいだな」
 観念したように、狐さんが呟いた。
「分かった、教えてやる。
 確かに、もうお前は部外者じゃないんだからな。
 その代わり、本当に日常には戻れなくなるぞ?」
「日常なんて、僕の兄さんが死んだ日からすでに壊れてます。
 聞かせて下さい。
 覚悟は、出来てます」
 「上等だ」と狐さんは言い、そしてゆっくりと口を開き始めた。
「『禍つ名』ってのは、もう知ってるんだよな?」
「ええ」
 そう、狐さんがそれに属している事も、知っている。
 あのアヒャとフーンとかいう変な二人組みに、教えて貰ったのだ。
「ハンター世界の暗部を司る者達の集まり、『禍つ名』。
 魑魅魍魎、一騎当千、百鬼夜行、鎧袖一触、人外魔境、
 およそ人間とは言えないような化物どもが群成す、文字通りの地獄の集団さ」
 迫る〜、ショッカー。
 なぜかそんな歌詞が頭に浮かぶ。
「上位から並べて、『妖滅』、『魔断』、『鬼祓』、『獣死』、『人吊』、枠外に俺が所属する『外法』。
 一応今の所はこういった順位になってるが、
 その戦闘能力とタチの悪さにそこまでの差は無い。
 紙一重も紙一重、いつ崩れたっておかしくないバランスの上に秩序がなりたってるのさ」
「そこら辺は、もう聞いています」
「それは重畳。 じゃあ説明を続けるぜ。
 そいつらは腐ってもハンターの一部だから、依頼が無い限り別段動く事は無い。
 だけど、どこの世界にもルールから外れる奴は出てくる」
 誰かの依頼でなく、意思でなく、意味の無い殺し。
 今回の連続猟奇殺人事件も、その一つという事か。
「今回はそれが『魔断』の手合いだった。
 手口から推理して、恐らく犯人は『冥界の支配者(ネクロマンサー)』で間違い無い」
「その、『冥界の支配者』というのは?」
「そいつの念能力が、そのまま通り名になってるのさ。
 本名は分からない。
 というより、記録に残っていない。
 何せ、そいつは十年以上も昔に『魔断』を破門同然になってるからな」
 ルールを破れば阻害される。
 それは裏社会でも一緒という事か。
「奴の能力は、死体の脳に念で作った蟲を埋め込み意のままに操る事。
 お前が殺人鬼に襲われた時に見た蟲がそれさ」
 成る程。
 だから、狐さんは僕があの蟲が見えた事に驚いてたのか。


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