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念を使わせてみよう小説スレッド

731:2004/11/22(月) 01:58



 RRRRRRRRRRRRRRRRRR!
 RRRRRRRRRRRRRRRRRR!

 電話が鳴った。
 あ、そうだ。
 家族はもう電話に出られないんだから、僕が出なくちゃ。
 僕が、電話に、出なくちゃ。
「もしもし」
 自分でも吃驚する程の抑揚の無い声が出た。
『コンバンハ、タカラギコクン』
 知らない人の声だ。
 というか、変声機で声が変えられていて、男か女かすら判別がつかない。
「あの、どなたですか?」
 平坦な声のまま、僕は相手に訊ねる。
『キミヲヨクシルジンブツ、トデモナノッテオコウカ。
 シカシキミハホントウニイイイミデキタイヲウラギルヤツダヨ。
 コロシヤガヤクニタタナカッタヨウダカラ、
 キョウカゾクトイッショニコロシテアゲヨウトオモッテイタンダケド、
 キミノカエリガオソクナッタオカゲデストーリーがヨリオモシロイホウコウニコロガッタ』
 ああ、そうか。
 こいつが僕を殺す為に殺し屋を雇ったのか。
 そして、今、僕の家族が死んでいるのも―――

「てめええ! 許さねえ!! 絶対に殺してやる!!」
 あらん限りの大声で、僕は受話器に向かって叫んだ。
『サスガタカラギコクンダネ。
 ミゴトナオコルモノマネダ』
「怒る――物真似だと?」
『オイオイ! ジカクガナカッタワケジャナインダロウ!?
 キミハダレカノモノマネシカデキナイハズジャナイカ!
 イマダッテ、キミハカゾクヲコロサレテオコルトイウマネゴトヲシテイルダケダ、
 ソレハキミガイチバンヨクシッテイルトオモウケドナ!』
 誰かの、猿真似。
 死の恐怖も。
 家族を殺された怒りすらも。
 そうだ。
 そうじゃないか。
 僕は偽物なんだ。
 自分の意思で怒るなんて芸当、出来る筈がない。
 家族関係だって、とうの昔から偽物だったじゃないか。
 僕は兄さんの真似をして、家族ごっこを続けていただけだったじゃないか。
 そんな、
 そんな僕が怒るなんて、
 喜劇もいい所―――

「貸せ」
 と、狐さんが僕が持っていた受話器をひったくった。
「…『魔断(まこと)』の『冥界の支配者(ネクロマンサー)』だな」
 狐さんが、低い声で短く告げる。
『コレハコレハ、カノゴコウメイナゲホウキツネサンデハアリマセンカ!
 イカニモソノトオリデゴザイマス』
 受話器から、向こうの会話が何とか聞き取れる程度に流れ出て来る。
「いいか、てめえの人生は今ここで終了した。
 てめえは決してやってはいけない事をした。
 せいぜいこれから先の短い人生をよく噛みしめて生きな。
 楽には死なせやしねぇ…
 てめえは、俺が、地獄の果てまで追い詰めてでもぶっ殺す…!」
 そういい終えると同時に、狐さんの手の中で受話器が圧壊した。
 狐さんの握力に、受話器が耐えられなくなったのだ。


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