したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

念を使わせてみよう小説スレッド

71:2004/11/09(火) 23:58





「着きましたよ」
 結局、僕は不承不承この変な女性を商店街のゲームセンターまで案内する事になった。
やれやれ、しかしそれもここまでだ。
「じゃ、僕は家族が心配するかもしれないんでこれで」
 そう言い残しその場を立ち去ろうとする僕の後ろ襟を、着物姿の女性は掴んだ。何だ?
未成年略取の現行犯か?
「まあそう急ぐなよ少年、折角だから一緒に遊んでいかないか?」
 女性がそう言って僕を引き止める。これは一種の逆ナンというやつか?
「有難い申し出ですが、最近は物騒なので早く家に帰る事にしているのですよ。ではこれ
 で。縁が合ったらまたお会いしましょう」
 もう沢山だ。こんな変人とはすぐにでもおさらばしたい。
「家に帰っても安全とは言い切れないと思うんだけどな。件の連続猟奇殺人事件の犠牲者
 の4人は、家の中で惨殺されてたって話だろ?」
 この女、異常な外見言動とは裏腹、しっかりニュースにはチェックを入れているらしい。
「言い換えれば家の中で殺されたのは20人中4人、つまり20%という事ですよね?な
 らば矢張り家の中の方が確率上安全という事実が統計によって導き出されます。よって
 僕は家に帰ります」
「まあ待てって。少年、まさか本気でそう思っている訳じゃないよな?確率的にはそうな
 のだとしても、お前が、家の中で殺される確率を上げるのに一役買わないという保証は
 どこにも無いんだぞ?」
 …思った程馬鹿という訳でもないようだ。かといって、この女性が変であるという僕の
認識は覆らないが。
「それに帰り道で殺人鬼に襲われないとも限らないしな。だけどそれは大丈夫。少年、君
 が俺とここで一緒に遊んでくれるなら、帰り道の安全だけはこの俺が確実に保証しよう。
 どうだい、悪くない取引だろ?」
 連続猟奇殺人犯よりあんたの方が心配だよ。というか、この人一介の市民が殺人鬼をど
うこう出来ると思っているのか?ちゃんと税金払ってるんなら、警察に期待すべきだと思
うのだが。

「…それに正直に言うとだな、俺、今手元に持ち合わせが無いんだよ」
 この人最悪だ。最初から僕の財布を目当てに、僕をここまで案内させたんだ。
「すみません帰ります、もう帰ります。お金については僕より人徳がありそうな人に相談
 して下さいではこれで」
 帰ろう。早く帰ろう。今日は下らない事で時間を無駄にし過ぎた。
「君が俺に金を出さないと言うのなら、俺は今ここで君の歯を全部へし折る覚悟がある」
「あんたそれカツアゲじゃねえかよ!」
 警察の皆さん、今すぐここに来て下さい。話題の連続猟奇殺人犯ではありませんが、今
ここに犯罪者が存在してます。
「わかりましたよ!出しますよ!出せばいいんでしょう!」
 もうヤケクソだ。こんな女に関わってしまった時点で僕の運命はお先真っ暗だったのだ、
と割り切って考えるしかない。
「うむ。君は実に気前のいい奴だな、少年。この恩は一生忘れないぞ」
 どうせ覚える気も無いくせに。僕はこの荒唐無稽な女性を前に、ただ呆然とするしか出
来なかった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板