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念を使わせてみよう小説スレッド

671:2004/11/22(月) 01:55
 〜十一話〜

『連続猟奇殺人事件の犠牲者は、既に26人に上り…』
 テレビのニュースキャスターが、淡々と記事を読み上げる。
 アヒャとフーンは、それをビール片手に眺めていた。
「…未だに手がかり無し、か」
 フーンが缶ビールに口をつけ、一つ溜息をつく。
「……」
 アヒャは何も言わないまま、黙ってテレビを見ている。
「おい、アヒャ?」
「……」
 フーンの問いには答えないまま、アヒャはすっと立ち上がった。
「? アヒャ、どこへ行くんだ?」
「チョットソノヘンヲウロツイテクル」
 それだけ言い残し、アヒャは荒々しくドアから出て行った。
「やれやれ…」
 肩をすくめるフーン。
 しかしこういった事には慣れているのか、フーンはアヒャの後を追おうとはしない。

「…大変だな、あいつも」
 かつてフーンはアヒャの過去を聞いた事がある。
 アヒャがまだ子供だった頃、家族を念能力犯罪者に皆殺しにされたらしい。
 それ以来、アヒャは念能力を使った犯罪を憎み、
 このハンターという裏稼業に従じていると聞いた。
 だからこそ、今回のような事件に対しアヒャは特別な思い入れがあるのだろう。
「言っても聞かないとは思うが、無茶はするなよ」
 既に誰も居なくなった入り口のドアに向かって、フーンは静かに呟いた。



          @        @        @



「狐さん」
「何だね、少年」
「この歳になって、僕は世界の神秘を一つ発見しました」
「ほう。 してそれは?」
「この世には、回転しないお寿司というものが実在したという事です」
 僕は狐さんとしぇりーちゃんと一緒に、お寿司屋さんに食事に来ていた。
 店の入り口から、僕、狐さん、しぇりーちゃんの順で木製のカウンターに並び、
 板前さんからお品書きを渡される。
 ぱっと店内を見渡しただけで、半端なく高そうという事が嫌でも理解させられていたのだが、
 お品書きに書かれてある値段を見て僕は更に仰天した。
 あの、すみません、四桁以上の数字が普通に並んでいるんですけど、
 ここら辺ではこれがデフォルトなんですか?
 それとも、僕の知らない間にインフレが進んでいたんでしょうか?
「がんだ〜らがんだ〜らぜいせいいとわずいんい〜んでぃあ…」
 思わず、ガンダーラの歌詞を口ずさんでしまった。
 その国の名はガンダーラ、どこかに在るユートピア…
 まさか、そんなものが実際にあったとは。
「お兄さん貧民です〜」
 しぇりーちゃんに鼻で笑われる。
 悪かったな貧乏人で。
「はは、まあそう言ってやるなよ。
 今日は俺の奢りだ、存分に食べな」
 お猪口に入った熱燗を啜りつつ、狐さんが笑う。
 和服で日本酒を飲むその姿は、厭味なくらい様になっていた。
「ありがとうございます〜!
 それじゃあ私玉子!」
 しぇりーちゃんはまだ子供なのでオレンジジュースだ。
 僕はというと、ちびちびとアガリを口に含んでいた。
「あの、本当にいいんですか?
 こんな高そうな店でご馳走になっちゃって…」
 僕は狐さんにおずおずと訊ねた。
 いくら僕がマトモな神経を持っていないとはいえ、
 流石にあの値段を見ても気にせずどんどん注文するほど非常識でもない。
「遠慮するなって。
 別に食い逃げさせたりしないから安心しろよ」
 狐さんはそういうが、僕はまだ不安だった。
 僕、100mを何秒で走れたっけなあ…


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