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念を使わせてみよう小説スレッド

641:2004/11/21(日) 01:58

「…正直に言うとさ、僕は、君に殺されてもいいかなと思っているのかもしれない」
 僕のその言葉に、しぇりーちゃんが息を飲み込んだ。
 いくら彼女が凄腕の殺し屋といえど、
 自分から殺されるのを望む標的に出会ったのは初めてだったらしい。
「な、何を馬鹿な―――」
「僕はさ」
 口をパクパクさせるシェリーちゃんに構わず、僕は言葉を続ける。
「僕はさ、いつも僕ではない誰かを僕の中に投影されるだけだった。
 誰も僕自身を見ず、そして僕も自分自身の何かを生み出す事は出来なかった。
 だけど、君は違う。
 誰に頼まれたのかは知らないけど、君は他の誰でもない僕を殺す為に僕の所に来てくれた。
 僕そのものを必要としてくれた。
 それなら、僕はここで殺されてもいいんじゃないか――― そう思ったのさ」
 淡々と、僕は告げた。
 しぇりーちゃんは鳩が豆鉄砲を喰らったような顔のまま、僕の話を聞いている。
「あ、それとも恐がる真似をした方が、君にとっては都合がいいのかな?
 それは気配りが足りなかったね。
 『ひいいいいいいいい! い、命だけは、命だけは助けて下さい!!』
 どう?
 この前見たサスペンスドラマの真似をしてみたんだけど、雰囲気出てた?」
「もうやめろこの変態!!」
 悲鳴にも似た叫び声で、しぇりーちゃんが僕の言葉を遮った。
「何ですかあなたは!?
 何なんですかあなたは!?
 あなたにとっては、死の恐怖すらも誰かの真似事でしかないと!?
 何一つ本物なんて持っていないと!?
もう話しかけないで下さい!
 こっちを見ないで下さい!
 近寄らないで下さい!
 やめて下さい気持ち悪い!
 私の視界に入らないで下さい!
 私にその存在を意識させないで下さい!
 あなた、壊れてます!
 生き物として完全に壊れきってます!!」
 生き物として完全に失格。
 その通りだよしぇりーちゃん。
 もしかしたら、僕は生き物の真似をしているだけかもしれないんだから。
「気持ち悪いです!
 あなたがそこに存在するだけで不愉快極まりないです!
 もう我慢出来ません!
 ここで、塵一つ残さず殺します!!」
 その言葉を言い終わると同時に、しぇりーちゃんが僕目掛けて一直線に駆け出した。
 チャクラムの刃が、吸い込まれるように僕の首へと向かう。
 ああ、これでお仕舞いか。
 ここで僕は死んでしまうのか。
 最後に、会いたかったなあ。
 狐さんと、話がしたかったなあ…


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