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念を使わせてみよう小説スレッド
63
:
1
:2004/11/21(日) 01:57
「!?」
僕の両手に握られた彼女とそっくりの特大チャクラムを目にして、しぇりーちゃんが目を見開く。
「あ、あなた、強化系じゃなかったんですか!?」
驚くのも無理は無い。
あの時僕は強化系である狐さんの真似をして戦った。
だから強化系と相性が良くない筈の具現化系の能力を使うなんて、
彼女には思いもよらない出来事だったのだろう。
「ああ、驚かせてしまったみたいだね、ごめん。
だけどあまり警戒する事も無いよ。
こんな物、単なる紛い物に過ぎないんだから」
僕はチャクラムを持ったまま、鏡合わせの如くシェリーちゃんと同じ構えを取る。
彼女の全てを真似するように。
彼女の全てを模倣するように。
「まさか、特質系―――」
「どうやら君達念能力者の定義ではそうらしいね。
でも、正直な所僕は特質系であるかどうかも疑わしいんだ。
僕は何にもなれない。
僕は何も創れない。
ただ、水鏡のように別の何かを映すだけ。
そんなの、個別に区分された能力なんて言わないだろ?」
「要するに、単なる猿真似ですか」
「うん、まさしくその通りだよ。
僕に出来るのは誰かの真似事だけ。
誰でも無い故に誰にでもなれる。
誰でもあるが故に誰でもない。
そうだ、やっと僕の念能力の名前を思いついた。
『無貌の仮面(ドッペルゲンガー)』とでも名付けようか」
二重体(ドッペルゲンガー)。
特定の個人でなく、誰かの影の中にのみ潜む者。
他者なくして決して己を形作れぬ者。
そもそも己など存在しない者。
まさに、僕にぴったりだ。
「そ、そうと分かればもう問題ありません!
所詮は偽物、本物に勝つ事なんて出来ない筈です!」
チャクラムを僕に向け、しぇりーちゃんが叫んだ。
「そうだね。
事実僕の作ったこのチャクラムの性能は、本物である君のやつの半分にも及ばない。
戦えば、確実に僕は負けるだろう」
事も無げに、僕は言った。
「だったら!
だったらどうしてそんなに落ち着いていられるのですか!?
あなたは死ぬのが恐くないんですか!?」
信じられないといった顔つきで、しぇりーちゃんが僕を見据える。
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