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念を使わせてみよう小説スレッド
60
:
1
:2004/11/19(金) 09:56
「悪いけどさ、もう俺にも止められないんだよ。
俺はもう、殺すのを止められない。
今お前を見逃せば、きっと俺は俺を殺す。
だから、お前には死んで貰う」
ゆっくりと、外法狐が前に出てくる。
ゆっくりと。
ゆっくりと。
しかし確実に、ネーノとの距離を縮めながら。
「ひッ… ひッ… ひいいいいいいいいいいいいいいい!!」
ネーノの足元には、生暖かい水溜りが生まれていた。
恐怖のあまり失禁してしまっていたのだ。
ネーノは動けなかった。
ネーノの体の細胞は、いくら動いた所で目の前の殺人鬼から逃れる術など無い事を悟っていたのだ。
待ち受けるは、必ずもたらされる死。
手からボールを離せばボールは落ちる。
それくらい当然に訪れる死。
子供の様に涙を流して泣き叫びながら、ネーノはただ震えていた。
しかしそんなネーノの様子を見ながらも、
外法狐は顔色一つ変える事は無かった。
考えている事はただ一つ。
目の前の生き物を、殺す事―――
「じゃあな」
外法狐が無造作に左腕を振るうと、ネーノの頭部はまるで西瓜のように砕け散った。
「……」
外法狐は、今しがた自分が生産したばかりの死体を眺めていた。
何の感慨も無く、ただ虚ろな目でネーノとヂャンの死体を眺めていた。
「何なんだよ、俺は…」
人を殺した。
だけど、外法狐はその事について一切の罪悪感も感じてはいない自分を認識していた。
人が生きる為に食事をする、殺すのだってそれと同じような事。
そんな風に考えてしまう自分を、外法狐は自覚すると同時に嫌悪していた。
殺すのに快楽を感じる事が出来れば、命を蹂躙する事に狂う事が出来れば、
犯した罪に悩み苦しむ事が出来れば、殺す事に目的を見出す事が出来れば、
それならばどれだけ楽になれる事か。
それだけ救われた気持ちになれる事か。
だけど、自分にはそれすら無い。
何も考えなくとも殺す。
何も感じなくとも殺す。
殺したくなくとも殺す。
何であろうとも殺す。
ただその為のみに存在する、それしか為せない存在。
生物は生きる為に他の生物を犠牲にする、そういった自然の摂理からすら逸脱した化物。
それが自分の全てであり、それ以外のものなど知らない。
「何だっていうんだよ、俺は…!」
外法狐は、もう一度呟いた。
〜続く〜
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