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念を使わせてみよう小説スレッド

511:2004/11/16(火) 23:06

「…? 狐さん?」
 しぇりーが、物思いに沈んでいた外法狐に声をかける。
「あ、ああ、少し考え事をしていた。 すまない」
「いえ、別にいいですけど…
 それにしても、どうしてこんな質問を?
 ひょっとして、狐さん漫画でも描くつもりなんですか?」
「うんにゃ、違うよ。
 ちょっと聞いてみたくなっただけさ」
 外法狐は軽く頭を横に振る。

「そういやしぇりー、お前はどうしてこの街に来てんだ?
 確かお前、地元は別の場所だろ?」
「ああ、それですか。
 そうそう、思い出しましたよ。
 実は私、こないだ仕事をしくっちゃったのです」
 がっくりと肩を落とすしぇりー。
「あー、仕事でこっちに来てたのね。
 しかし、『人吊(ひとつり)【一理】』であるお前がしくじるとはな。
 それほどの手合いか」
「いえ、何と言うか…
 強いとか弱いじゃないんです。
 そう、言葉で言い表すなら、理解出来ないんです。
 理解出来なくて、恐いんです」
 しぇりーがぐっと拳を固める。
「んあ? 恐い?
 『禍つ名(まがつな)』であるお前さんを恐がらせるなんて、そりゃ一体どこの化物だ」
「分かりません。
 戦っている最中ですら、人間を相手にしているとは思えませんでした。
 まるで、そう、夢か幻とかとでも戦っているような、
 それくらい、全くと言っていい程手応えが無かったんです。
 私には信じれません。
 あんな人間が、この世に存在するなんて…」
 しぇりーの額にはうっすらと冷や汗が浮かんでいた。
「存在自体が嘘っぱち、ってか。
 はん、そりゃ傑作な話だな」
「笑い事じゃないですよぅ。
 私、またその人と戦わなきゃならないんですから。
 正直言って狐さんに手伝って欲しい位ですよ」
「悪いがそれは却下だ。
 お前も知ってるだろ?
 俺は自分に殺す理由が無い相手は殺さない。
 金で、俺じゃない別の誰かが殺して欲しい相手を殺すのは、俺の道義じゃない」
 きっぱりと、そう言い切る外法狐。
「ですか。
 …ですよね、ごめんなさい」
 しぇりーがペコリと頭を下げた。

「…あ。 そうだ、狐さん」
 しぇりーが思い出したように口を開いた。
「うん? どうした?」
 外法狐が聞き返す。
「あの、やっぱりこの街の連続猟奇殺人事件は、
 『魔断(まこと)【真琴】』の『冥界の支配者(ネクロマンサー)』が関わっている可能性が高いです」
「…だろうよ。
 けっ、あの最低の下種野郎が」
 不快感を隠そうともせず、外法狐は毒づく。
「それで、他の『禍つ名』もこの騒ぎに乗じてこの街に集まってきているみたいです。
 未確認ですが、『鬼祓(きばらい)【木払】』と『獣死(じゅうじ)【十字】』が来ているとの噂も聞きました。
 狐さんならまあ大抵の事は大丈夫でしょうけど、一応気をつけて下さい」
 しぇりーが、真剣な面持ちでそう告げた。
 その表情に、餡蜜を頬張っていた時のあどけなさは、無い。
「ああ、心配すんなって。
 俺の『不死身の肉体(ナインライヴス)』は無敵さ。
 お前の方こそ、気をつけろよ」
 優しい顔で、外法狐がしぇりーに微笑んだ。


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