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念を使わせてみよう小説スレッド
50
:
1
:2004/11/16(火) 23:06
@ @ @
「あっま〜〜〜〜〜い!
おいし〜〜〜〜〜い!
幸せ〜〜〜〜〜!」
かなり高級そうな甘味所の一室で、人吊詩絵莉(ひとつり しえり)は
デラックスジャンボクリーム餡蜜を口に運んでは顔をほころばせていた。
「そうかい。
遠慮せずにどんどん食べろよ」
それに向き合い、これまた山盛りの宇治金時に舌鼓を打つのは外法狐。
「狐さん、奢ってくれて本当にありがとうございます〜!
狐さん大好きです〜! らぶ〜、らぶらぶ〜」
「構わないさ。
こっちも付き合わせて悪かったな」
はしゃぐしぇりーに、外法狐は苦笑する。
その表情は、心なしか暗い。
「ふえ? 狐さん何かあったですか?
いつもならジャンボ宇治金時三杯はペロリなのに。
食欲無いんですか?」
しぇりーが心配そうに外法狐に訊ねる。
「ああ、いや…
まあ、ちょっと友達と喧嘩してしまってね。
大した事じゃない」
外法狐が一つ溜息をつく。
「ええ!?
狐さんと喧嘩するような人がこの地球上にいたんですか!?
どこの気狂いですか、その人は!」
「…人を人間爆弾みたいに言うなよ。
それに、相手はカタギだぞ。 手なんて出せるか」
外法狐にとって、グーで殴るくらいでは手を出したうちに入らない。
「そうですか。
でも、狐さんがそこまで落ち込むなんて珍しいですね」
「ばーか、落ち込んじゃいないよ。
ちょっと、気がかりなだけだ」
外法狐は笑い飛ばそうとしたが、出来なかった。
…あの少年は、今頃どうしているのだろうか。
もう家に帰ったか、それともまだ絵を描いているのか。
どっちにしろ、もう会わない方がいい。
どこで聞いたのかはしらないが、自分が『禍つ名』である事がバレてしまった。
ならば、これ以上一般人であるあの少年とは関わるべきではない。
「…なあ、しぇりー」
外法狐はおもむろに口を開いた。
「ふえ? 何ですか狐さん?」
しぇりーが首を傾げる。
「お前、確か漫画描くのが趣味だったよな」
「ええ、そうですけど」
「あのさ、変な事聞くけど、人の漫画の真似をする事ってあるのか?」
外法狐がしぇりーの顔を見据える。
「ええ。 人の作品を模倣するのは、技術の向上に欠かせませんからね。
トーンの貼り方とか、構図とか、上手い人の真似をするのが上達の早道ですね。
あ、すみません。 もう一つ同じの下さい」
餡蜜を平らげたしぇりーが、店員にお替りを注文する。
「ふうん。 で、それって楽しいのか?」
「いえ、模倣はあくまで技術向上の一環ですから。
楽しいとかそういうのとは別問題です。
やっぱり物を創るからには、自分の物を創らないと。
自分の考えた物が形になった時のあの達成感は、人真似では得られませんね」
「へえ…」
外法狐の脳裏に、あの少年の姿が映る。
『僕は偽物』。
あの少年はそう言っていた。
独創性の欠如。独自性の欠落。
しぇりーは言った。
『自分の考えた物が形になった時のあの達成感は、人真似では得られませんね』、と。
そしてあの少年は『自分自身の何かを創れない』と言った。
それはつまり、何をしても何も得られないという事。
達成感も満足感も勝利感も敗北感も絶望感も飢餓感も落胆感も、何も生まれないという事。
そこにあるのは、ただ絶対の虚無のみ。
それは、どれ程の地獄だというのか―――
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