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念を使わせてみよう小説スレッド

481:2004/11/16(火) 01:33

「…あんまり偉そうな事言わないで下さいよ。
 『禍つ名(まがつな)』の『外法狐(げほう きつね)』さん」
 自分でも恐ろしくなるような冷淡な声が、僕の声から滑り出た。
「……!
 お前、それ、どこで聞いた…!」
 狐さんの表情が強張る。
「どこだっていいでしょう
 逐一、僕の全てをあなたに報告しなければいけない理由でもあるんですか?」
 止まれ。
 止まってくれ、僕の口。
 僕は、こんな事を言いたいんじゃない!
「聞きましたよ?
 『外法』って、ハンターの暗部である『禍つ名』の中ですら忌み嫌われているんですってね?
 人を人とも思わない、化物の集まりなんですってね?
 僕の事も殺すつもりだったんですか?
 それとも、念を教えて『外法』とやらの一員に引き込むつもりだったんですか?
 あの僕を襲った殺人鬼のおじさんも、もしかしてあなたの演出だったんですか?
 最初から騙すつもりで、僕に接触したんですか?」
「違う! 俺は、君を騙すつもりなんか―――」
「騙すつもりなんか無かった。
 はッ、とんだお笑い種だ。
 そういえばあなた言いましたよね。
 『金の為の殺しはしない』って。
 ええ、全く嘘は言ってません。
 で、金以外の理由では、一体何人殺したんです?」
「……ッ!!」
 どうして、
 どうして黙るんですか、狐さん。
 否定して下さいよ。
 俺は殺人鬼なんかじゃない、って。
 『外法』なんかとは、何も関係が無い、って。
 黙ったまんまじゃ分からないじゃないですか。
 お願いだから、違うって言って下さい…!

「…そうだな。 そうだった。
 俺は、君に偉そうに説教なんて出来る立場じゃなかったな」
 狐さんが微笑む。
 悲しそうに。
 哀しそうに。
「あーあ。 バレちゃったか。
 ま、自業自得か」
 狐さんがつかつかと窓まで歩く。
 背中をこちらに向けている為、その表情を見る事は出来ない。
「…今更、こんな事言えた義理なんかないけどさ、言っておくよ。
 自分を偽物なんて卑下するのはやめろ。
 君は、間違い無くたった一人の君なんだからな、少年。
 少なくとも、俺はそう思ってるぜ?」
 狐さんが窓の桟に手をかけ、そして、もう一度だけ振り返った。
「それじゃあな、少年。 達者でやれよ」
「き―――」
 僕が引き止めようとしたその瞬間、狐さんはあっという間に窓から姿を消してしまった。
 慌てて窓から外を覗くも、狐さんの姿は影も形も残っていない。
「……」
 偽物の体だから、本当の痛みを感じれない。
 偽物の心だから、本当の痛みが分からない。
 それなのに―――
「……」
 それなのに、
 狐さんとモナカさんに殴られた場所には、
 確かな痛みが残されていた。


                〜続く〜


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