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念を使わせてみよう小説スレッド

421:2004/11/16(火) 01:30
 〜六話〜

 僕は、絵を写していた。
 うん、大丈夫だ。
 筆が乱れている感じも無い。
 小テストだって落ち着いて解答出来た。
 僕に今の所異常は無い。
「……」
 自分の心を塗り潰すように、絵の具を白いキャンパスに塗りたくる。
 考えるな感じるな。
 この身をただの、贋作作製機と化せ…

「よう、少年」
 窓から、あの溌剌とした声が聞こえてきた。
 目を向けると、狐さんが窓の淵に座って僕を見ている。
 あの、ええと、僕の記憶が確かなら、ここって三階ですよね?
「よっと」
 狐さんが軽快な様子で美術室の床に足をつけた。
「…よく僕の学校が分かりましたね」
 まず何から突っ込むべきか迷ったが、僕は取り敢えずそれから尋ねる事にした。
「ああ、一昨日ゲームセンターで会った時、こっそり学生手帳見たんだよ」
「あんたそれスリじゃねえかよ!」
「スリとは失礼な。
 覗いた後ちゃんと戻しておいたぞ?」
 狐さんが口元を緩めて微笑む。
 本当に。
 本当に屈託無く笑うんだなあ。
 本当に、僕は、この笑顔を見るだけで、それなのに。
「…何の用ですか?」
「そう邪険にするなよ。 俺と君の仲だろ?
 いやさ、念ってえのは昨日話した事だけじゃ全然説明が足りないんだ。
 ま、君が混乱するだろうから、敢えて昨日全部は話さなかったんだけどな」
 狐さんが言いたいのは、恐らく練や凝とかいうやつなのだろう。
 まさか、僕が昨日殺し屋みたいな少女に襲われて、
 そいつから練等の事を教えてもらってるとは夢にも思うまい。

「あ、あの、狐さ―――」
 僕は思わず、狐さんに昨日の事を話しそうになった。
「ん? どうした、少年?」
「…いえ、何でもないです」
 話したい事は山ほどある。
 昨日、変な少女に殺されかけた事。
 ハンターの二人組みに助けて貰った事。
 その人から、色んな話を聞いた事。
 そして、狐さんの事。
 僕は未だに、狐さんが殺人鬼とは信じられなかった。
 信じたくなかった。
 学校に来て冷静に考えてみれば、アヒャさんとフーンさんが嘘をついていないという保証はどこにもない。
 だからあの二人が僕を動揺させる為に、『外法』とかいう組織をでっちあげたとも考えられる。
 だがしかし、二人が僕を騙して得をする事なんてあるのだろうか。
 そもそも、あの二人が僕に嘘をつく理由が見つからない。
 いや、考えるのはよそう。
 もしかしたら、たまたま外法という苗字が一致しただけなのかもしれない。
「ははーん、もしかして俺の3サイズが聞きたいのか?」
「うるせえんな訳あるかペチャパイ」
 …本当は恐かったのかもしれない。
 狐さんに、外法について聞く事が。
 曖昧なままに、しておきたかったのかもしれない。


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