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念を使わせてみよう小説スレッド
42
:
1
:2004/11/16(火) 01:30
〜六話〜
僕は、絵を写していた。
うん、大丈夫だ。
筆が乱れている感じも無い。
小テストだって落ち着いて解答出来た。
僕に今の所異常は無い。
「……」
自分の心を塗り潰すように、絵の具を白いキャンパスに塗りたくる。
考えるな感じるな。
この身をただの、贋作作製機と化せ…
「よう、少年」
窓から、あの溌剌とした声が聞こえてきた。
目を向けると、狐さんが窓の淵に座って僕を見ている。
あの、ええと、僕の記憶が確かなら、ここって三階ですよね?
「よっと」
狐さんが軽快な様子で美術室の床に足をつけた。
「…よく僕の学校が分かりましたね」
まず何から突っ込むべきか迷ったが、僕は取り敢えずそれから尋ねる事にした。
「ああ、一昨日ゲームセンターで会った時、こっそり学生手帳見たんだよ」
「あんたそれスリじゃねえかよ!」
「スリとは失礼な。
覗いた後ちゃんと戻しておいたぞ?」
狐さんが口元を緩めて微笑む。
本当に。
本当に屈託無く笑うんだなあ。
本当に、僕は、この笑顔を見るだけで、それなのに。
「…何の用ですか?」
「そう邪険にするなよ。 俺と君の仲だろ?
いやさ、念ってえのは昨日話した事だけじゃ全然説明が足りないんだ。
ま、君が混乱するだろうから、敢えて昨日全部は話さなかったんだけどな」
狐さんが言いたいのは、恐らく練や凝とかいうやつなのだろう。
まさか、僕が昨日殺し屋みたいな少女に襲われて、
そいつから練等の事を教えてもらってるとは夢にも思うまい。
「あ、あの、狐さ―――」
僕は思わず、狐さんに昨日の事を話しそうになった。
「ん? どうした、少年?」
「…いえ、何でもないです」
話したい事は山ほどある。
昨日、変な少女に殺されかけた事。
ハンターの二人組みに助けて貰った事。
その人から、色んな話を聞いた事。
そして、狐さんの事。
僕は未だに、狐さんが殺人鬼とは信じられなかった。
信じたくなかった。
学校に来て冷静に考えてみれば、アヒャさんとフーンさんが嘘をついていないという保証はどこにもない。
だからあの二人が僕を動揺させる為に、『外法』とかいう組織をでっちあげたとも考えられる。
だがしかし、二人が僕を騙して得をする事なんてあるのだろうか。
そもそも、あの二人が僕に嘘をつく理由が見つからない。
いや、考えるのはよそう。
もしかしたら、たまたま外法という苗字が一致しただけなのかもしれない。
「ははーん、もしかして俺の3サイズが聞きたいのか?」
「うるせえんな訳あるかペチャパイ」
…本当は恐かったのかもしれない。
狐さんに、外法について聞く事が。
曖昧なままに、しておきたかったのかもしれない。
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