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念を使わせてみよう小説スレッド
35
:
1
:2004/11/15(月) 02:35
「おい!こっちで何かすげえ音がしたぞ!」
「キャー!助けてーーー!!」
「何だ何だ!?猟奇殺人か!?」
「誰か来てくれ!」
「警察呼べ!警察!!」
野次馬達の声が、辺りから流れて来た。
「―――!!」
はっとして僕の顔を見るしぇりーちゃん。
『してやられた』、可愛い顔にそう書いてある。
もう遅い。
その通りだ、しぇりーちゃん。
さっきの一撃は、君を倒す為だけに君に放ったんじゃない。
“大きな音を立てて人を集める為でもあった”んだ。
この戦闘での僕の勝利条件は『君を倒す事』ではなく、『この戦闘から生き延びる事』。
それならば、幾らでもやりようはある。
「…あは、は―――」
しぇりーちゃんが、乾いた笑い声を漏らした。
「は、は―――」
体を震わせ、カタカタと笑う。
「いいですよいいですよいいですよいいですよいいですよいいですよいいですよ。
あなた、“いい”ですよお兄さん。
凄いです天才です天災です傑作で奇怪です超然です喝采です。
この『人吊』と、『禍つ名』とここまで張り合った一般人は初めてです偶然です必然ですありえません」
明後日の方角を向きながら、それでも殺気はこちらに向けたまま悶えるように呻くしぇりーちゃん。
正直、かなり恐い。
「いいでしょうそうでしょうどうでしょう当然でしょう。
あなた以外の人を殺すのは、仕事の内容に入っていません。
今回は私の負けで決着です完敗です乾杯です」
しぇりーちゃんが膝を曲げて跳躍。
一足飛びで電信柱の天辺に着地する。
「ですが、次はこうはいきません。
次は負けません。
万全の態勢を整えて、十全の力を蓄えて、完全の覚悟を持ってして、
この人吊詩絵莉(ひとつり しえり)はお兄さんを殺しに窺います覗います伺います」
最後に、しぇりーちゃんが僕の顔をキッと睨んだ。
「それではまた遭いましょう。
人の姿をした人の擬似、タカラギコのお兄さん」
そう言い残し、しぇりーちゃんは一瞬にしてどこかへ飛び去ってしまった。
…我ながら、よくあんなのと戦って無事生き残れたな。
「…あれ? え―――?」
と、僕の視界が大きく傾いた。
いや、傾いているのは視界じゃない。
僕の体そのものだ。
「え? え?」
体から急速に力が抜けていく。
それと同時に襲い来る、まるでフルマラソンをつい先程走り終えて来たばかりのような疲労感。
何だ。
僕に、何が起きた?
「う、あ…」
まずい。
ここで気を失うのはまずい。
何とかして、気を持ち堪えさせなくっちゃ―――
@ @ @
倒れた少年を、二人組みの男達が見下ろしていた。
「…アヒャ。 ドウスンダ、コノガキ?」
アヒャ顔の男がもう一人のフーン顔の男の見る。
「どうやら念能力者のようだな。
そしてさっき逃げていった少女…
間違いあるまい、『殺人人形(キリングドール)』、人吊詩絵莉だ」
フーン顔の男が、深刻そうな表情で告げた。
「アッヒャー。 ヨリニモヨッテ『禍つ名』カヨ」
アヒャ顔の男がやれやれと首を振る。
「…どうする? 五位とはいえ、『禍つ名』と関わるのは危険極まりないぞ。
こいつはここに放置しておくか?」
フーン顔の男が訊ねる。
「ナニイッテヤガル。 モシカシタラリョウキサツジンジケンノテガカリヲニギッテルカモシレネエンダ。 ツレテイクゾ」
当然のように答えるアヒャ顔。
「そう言うと思ったよ…」
フーン顔が呆れたように溜息をついた。
〜続く〜
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