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念を使わせてみよう小説スレッド
30
:
1
:2004/11/15(月) 02:27
だけど、どうする。
さっきと今のは偶然にも避けられたけど、マグレが次にも起こるとは思えない。
しぇりーちゃんも次で確実に仕留めにかかるだろう。
待ち受けるは、死、のみ。
このままでは確実に殺されてしまう。
くそ、考えろ。
この現状を打破するような手段は。
この現状を覆す裏技は…!
『そして、およそ日常では念能力を使うような事態なんてまず起こらない。』
狐さんの台詞。
そうだ、念。
だけど、念は日常を容易く壊す諸刃の剣と、狐さんも言っていた。
だけど、そんな事構ってられるか。
今は間違い無く日常なんかじゃない。
非日常だ。
使うぞ、念を。
思い出せ、あの感覚。
確か、自分の内側に流れる力を感じ取って―――
「!?」
今まさに僕に飛びかかろうとしていたしぇりーちゃんが、慌てて足を止めた。
「お兄さん、念使いだったんですか!?」
明らかに驚いている声。
「…だったら、どうだって言うんだい?」
溢れる。
僕の内側から、何かが溢れてくる。
だけど、これは何だ?
何かが僕の中から出ているのは分るが、そこには何の力も感じられない。
「でも、どうやらまだ素人のようですね。
練(レン)や纏(テン)や凝(ギョウ)すら出来ていない。
それどころかその気(オーラ)は何なんですか?
体から出てくると同時に、空気にでも溶けるかのように消えちゃってますよ?
そんなんじゃ、練もへったくれもないです。
何も出来やしないじゃないですか」
練?纏?凝?
何だそれは。
そんな事、狐さんからは聞いてないぞ。
そうか、多分狐さんは明日か明後日にでも教えるつもりだったんだ。
一気に教えては、僕が混乱するかもしれないと思ったから。
だが、今はそれが完全に裏目に出た。
だけど狐さんを責める事は出来まい。
だって、二日連続で命の危機に晒されるなんて、どこの誰が考えつく?
「それなら、どうって事ないです。
一般人に毛が生えた程度の念使いなど、
五位とはいえ卑しくも『禍つ名(まがつな)』である、
この『人吊(ひとつり)【一理】』の敵ではありません」
しぇりーちゃんが、今度こそ僕の首を落としにかかる。
速い。
とても、対応出来ない。
いまさっきの二回は、本当にただの幸運だったようだ。
しぇりーちゃんが僕を一般人と思って油断した、という事もあるだろうが。
嫌だ。
死にたくない。
僕はまだ、あの人と話が聞きたいんだ。
狐さんと、話がしたい。
畜生。
駄目なのか。
ここで全て終わりなのか。
念とやらがあっても、僕には結局何も出来ないのか。
そりゃそうさ。
だって僕は偽物。
何一つ本当のものなど作れやしない。
しぇりーちゃんも言っていた。
僕の気は、何にもならずに消えてしまっていると。
僕には、念ですら何も作れない。
全てが偽り。
全てが虚ろ。
ならば、“人の真似をすれば”いい…!
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