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念を使わせてみよう小説スレッド

2581:2005/01/20(木) 00:45

 しかし思い返してみれば、外法狐もまた理解し難い人間ではあった。
 あいつは、外法にしてはあまりに正常に憧れ過ぎる。
 自分やギコ、そして他の『外法』の構成員は大なり小なり、
 普通であるという事を諦めているというのに。
 どう足掻いても殺してしまう、自分の呪われた性質に絶望して―――
 人間である事を、止めてしまうのが当然なのに。
 それでも狐はどこまでも一般の人間である事を求めた。
 いつかの酒の席で、狐が「将来の夢はお嫁さん」と真顔で言った時など、
 鳥肌すら立った覚えがある。
 無駄だという事は明白なのに。
 異常な人間が正常であろうとするなど、異常以外の何者でもない。
 狐にしても、それは分かっているのだろう。
 『外法』の中で最も『外法』らしいのに、
 誰よりも『外法』である事から逃れようとする二律背反。
 だからこそ。
 だからこそのあそこまでの『強さ』か。
 もしかしたら狐があの少年を殺さない理由は、そこらへんにあるのかもしれない。

「……と」
 そこまで考えた所で八頭身は立ち止まる。
 目の前に先程狐が発見したのと同じ糸のトラップを見つけたからだ。
 糸に触れないように、慎重に潜り抜ける。
 糸に触れたらその感触で居場所を察知されるのは、数分前に実証済みだ。
 しかし糸とは、中々に厄介である。
 ただでさえ細くて見え難いというのに、こうして夜に合わせて黒い糸など使われてはお手上げだ。
 その上ご丁寧に念を流した上に『隠』で覆っている。
 かなり注意して進まなければ、あっという間に糸の餌食になってしまうだろう。
「……」
 無言のまま、八頭身は狐達の安否を気遣った。
 あいつらは大丈夫だろうか?
 狐はまあ心配はいらないだろうが、問題はギコとタカラギコである。
 彼らは、まだまだ『妖滅』と戦うには時期尚早もいいところ。
 特にタカラギコに至っては素人同然である。
 『妖滅』を前にしては、10秒と持つまい。


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