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念を使わせてみよう小説スレッド

2561:2005/01/19(水) 00:37

「がッ、くぅ…!
 そうか、てめえまさか…!
 俺の体組織に、直接電流を流してやがるな!?」
「そう、お察しの通りだよ。
 直径数ミクロンにも及ばぬ極細の金属糸。
 無論こんなものではちっともダメージなんか与えられやしないが、狙いはそれじゃない。
 こいつを生物の体内に侵入させ、電気を流した事による筋反応で自在に操る。
 これこそが『殺人奇術』。
 しかし流石は『不死身の肉体(ナインライヴス)』の超肉体だ。
 蜘蛛の巣程も無い金属糸の感触を察知して、そこまで見抜いたか」
 レガート・ブルーサマーズか何かか、お前は。
「俺の念はとても弱い。
 とてもとてもとても弱い。
 スタンガンにも及ばない電気しか生み出せない。
 だけど、人を殺すにはそれで充分過ぎる」
「があッ!!」
 今度は狐さんの左腕があらぬ方向に捻れる。
 間接や骨格すら無視して、筋肉の力で無理矢理体を捻じ曲げているのだ。
 そのまま腕に引っ張られる形で転倒する狐さん。
「諦めろ外法狐。
 お前がいくら強かろうと、いくら優れた肉体を持っていようと、
 体の構造が人間と同じである以上、俺の『殺人奇術』の前には無力だ」
「へッ…
 ふざけた事言ってんじゃ… ぐあぁッ!!」
 ゴキリ、と狐さんの腕から鈍い音が響いた。
 腕の関節が破壊されたのだ。
 馬鹿な。
 あの狐さんが、赤子のようにあしらわれているだと!?
「…しかし確かに大した肉体強度ではあるな。
 普通なら、もう既に腕を捻り切っているというのに。
 正直、ここまで俺の『殺人奇術』に抵抗したのはお前が始めてだ」
 弟者が感心したように狐さんを見据える。
 その間にも、狐さんの腕は更に捻じ曲げられていった。
「やめろぉ!!」
 僕は弟者に向かって突進した。
 もう、動けるのは僕しか居ない。
 少しでも、狐さんが反撃する為の時間を稼がなければ…!
「五月蝿い」
 弟者は僕に目も向けずにそう言い放った。
「!!!」
 刹那、僕の右足が僕の意思とは無関係に逆方向に折れ曲がる。
 迸る激痛。
 しまった。
 既に奴の奇術に取り込まれていたのか…!
「少年!!」
 狐さんが叫ぶ。
 駄目だ、狐さん。
 僕なんかに構わずに―――
「他人に気を回している暇があるのか?」
 弟者がその一瞬の隙を逃す筈は無かった。
 虚をつかれ、狐さんの左腕がそこだけ別の生き物のように跳ね上がる。
 そしてその手の指がそのまま、狐さんの胸、丁度心臓のある位置に突き立てられた。
「ぐあああぁッ!!」
 苦悶の叫びをあげる狐さん。
 やめろ。
 それだけはやめてくれ。
 狐さんを、殺さないでくれ…!
「チェックメイトだ。
 このまま自分の心臓を自分の手で抉り出して死ぬがいい」
 弟者が冷淡な表情のまま、死刑執行の合図を告げた。


                  〜続く〜


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