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念を使わせてみよう小説スレッド

2541:2005/01/19(水) 00:36
 〜四十五話〜

 僕は夢を見ていた。
 夢の中では僕はギコで、ギコは僕だった。
 僕とギコはお互い背中合わせの方向に歩き、道すがらにあらゆるものを殺して回った。
 ギコの僕は自分の手で全てを殺し、
 僕のギコは勝手に周りの奴らが殺し合った。
 そして地球を一周して、僕とギコは再び出会った。
 そして後ろに積み重ねられた死体を見て、僕達は声を揃えて言った。
「何だ。 結局どっちでも一緒だったんだ」





「起きろ」
 僕を夢の世界から引き戻したのは、狐さんの声だった。
「…お早うございます」
 目を開き、黙ったまま思考する僕。
 ええっと、何があったんだっけ。
 てか、何で体がこんなに土だらけになっているんだ。
 ああ、そうだ。
 思い出してきた。
 僕は崖崩れから逃げ切れずに、土砂の中に生き埋めになったんだ。
 いやあ、あの時は本当に死ぬかと思った。
 で、僕は今どうして生きているんだ?
 それともここは天国か地獄か?
「ったく、心配させやがって。
 君を発掘した所為で、折角の特注着物が台無しじゃないか」
 土まみれの迷彩柄の着物を手ではたく狐さん。
 て事は、わざわざ生き埋めになった僕を掘り起こしてくれたのか。
 発掘という表現は多少あれだが。
 僕は化石や土器じゃねえぞ。
「…!
 そういえば、他の皆は!?」
 僕は辺りを見回した。
 ギコや八頭身さんの姿は、どこにも無い。
「どうやら崖崩れから逃げる時にはぐれちまったみたいだな。
 …ま、こんなので死ぬような奴らじゃねえよ。
 問題は、こうして戦力が分断されちまったって事だ」
 狐さんが低い口調で言う。
 確かに、ここに着ての人員の分散は大きな痛手だ。
 糞。
 最初からこれが狙いだったのか。
「てか、どうやってあんな崖崩れなんか…
 どんな能力か知りませんが、反則過ぎですよ」
 あのオカマ、何て無茶をしやがるんだ。
 危うく死んでしまう所だったじゃないか。
「理論的には可能さ。
 あいつの『小波(キリングパルス)』ならな」
「そういやレモナさんの能力が分かったって言ってましたけど、あれ結局何なんですか?
 崖崩れと何か関係あるんですか?」
 僕は狐さんに訊ねた。
「一発喰らって確信したよ。
 あいつの念『小波』は、念を超高速振動波に変える変化形能力だ」
「超高速振動波…」
 成る程。
 触れただけでギコがノックアウトされたのはその所為か。
 手を相手に当てて『小波』を発動。
 振動で直接体内から破壊する。
 分かってしまえば単純極まりないトリック。
「でも、それとさっきの崖崩れとどういう関係が?」
「簡単さ。
 ああいう崖とかには全てを支えている点というものが存在する。
 その点を微弱な振動で探って、探知したらそこに向けて今度は強力な振動で一気に破壊。
 そうする事で、いとも容易くあそこまでの規模で崖を崩落させたんだ」
「そんな事が可能なんですか!?」
 理屈はそれで正しいのかもしれない。
 だけど、そんなの並大抵の技術じゃ不可能だ。
 神業、というより魔技の領域だ。
「だが現実には“それ”が起こった。
 それが全てさ。
 いいかい少年。 君が相手にしているのは、そういう奴らなんだぜ?」
 狐さんが諭すように言う。
 どいつもこいつも―――
 全くもってどいつもこいつも、
 頗る付きの人外揃いだ。


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