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念を使わせてみよう小説スレッド
254
:
1
:2005/01/19(水) 00:36
〜四十五話〜
僕は夢を見ていた。
夢の中では僕はギコで、ギコは僕だった。
僕とギコはお互い背中合わせの方向に歩き、道すがらにあらゆるものを殺して回った。
ギコの僕は自分の手で全てを殺し、
僕のギコは勝手に周りの奴らが殺し合った。
そして地球を一周して、僕とギコは再び出会った。
そして後ろに積み重ねられた死体を見て、僕達は声を揃えて言った。
「何だ。 結局どっちでも一緒だったんだ」
「起きろ」
僕を夢の世界から引き戻したのは、狐さんの声だった。
「…お早うございます」
目を開き、黙ったまま思考する僕。
ええっと、何があったんだっけ。
てか、何で体がこんなに土だらけになっているんだ。
ああ、そうだ。
思い出してきた。
僕は崖崩れから逃げ切れずに、土砂の中に生き埋めになったんだ。
いやあ、あの時は本当に死ぬかと思った。
で、僕は今どうして生きているんだ?
それともここは天国か地獄か?
「ったく、心配させやがって。
君を発掘した所為で、折角の特注着物が台無しじゃないか」
土まみれの迷彩柄の着物を手ではたく狐さん。
て事は、わざわざ生き埋めになった僕を掘り起こしてくれたのか。
発掘という表現は多少あれだが。
僕は化石や土器じゃねえぞ。
「…!
そういえば、他の皆は!?」
僕は辺りを見回した。
ギコや八頭身さんの姿は、どこにも無い。
「どうやら崖崩れから逃げる時にはぐれちまったみたいだな。
…ま、こんなので死ぬような奴らじゃねえよ。
問題は、こうして戦力が分断されちまったって事だ」
狐さんが低い口調で言う。
確かに、ここに着ての人員の分散は大きな痛手だ。
糞。
最初からこれが狙いだったのか。
「てか、どうやってあんな崖崩れなんか…
どんな能力か知りませんが、反則過ぎですよ」
あのオカマ、何て無茶をしやがるんだ。
危うく死んでしまう所だったじゃないか。
「理論的には可能さ。
あいつの『小波(キリングパルス)』ならな」
「そういやレモナさんの能力が分かったって言ってましたけど、あれ結局何なんですか?
崖崩れと何か関係あるんですか?」
僕は狐さんに訊ねた。
「一発喰らって確信したよ。
あいつの念『小波』は、念を超高速振動波に変える変化形能力だ」
「超高速振動波…」
成る程。
触れただけでギコがノックアウトされたのはその所為か。
手を相手に当てて『小波』を発動。
振動で直接体内から破壊する。
分かってしまえば単純極まりないトリック。
「でも、それとさっきの崖崩れとどういう関係が?」
「簡単さ。
ああいう崖とかには全てを支えている点というものが存在する。
その点を微弱な振動で探って、探知したらそこに向けて今度は強力な振動で一気に破壊。
そうする事で、いとも容易くあそこまでの規模で崖を崩落させたんだ」
「そんな事が可能なんですか!?」
理屈はそれで正しいのかもしれない。
だけど、そんなの並大抵の技術じゃ不可能だ。
神業、というより魔技の領域だ。
「だが現実には“それ”が起こった。
それが全てさ。
いいかい少年。 君が相手にしているのは、そういう奴らなんだぜ?」
狐さんが諭すように言う。
どいつもこいつも―――
全くもってどいつもこいつも、
頗る付きの人外揃いだ。
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