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念を使わせてみよう小説スレッド

2491:2005/01/16(日) 03:16

「…あの」
 少年がおずおずと俺に訊ねてくる。
「何だい、少年」
 出来るだけ普段通りに答える。
「狐さん、何か嫌な事あったんですか?」

 ―――――!

「どうして、そんな事…」
「狐さん、さっきから僕の目を見て話してません」
 …全てお見通し、か。
 この少年が鋭いのか、俺が隠し事をするのが下手なのか。
 どっちかは分からないけれど。
「…あれだな、少年」
「?」
「鈍い男よりは察しのいい男の方がマシだけど、
 一々口に出して言っているようじゃあ減点だな」
「??」
「本当にいい男ってのは、
 気づいたらそれとなく優しく接するものさ」
「…よく分かりませんが、難しそうですね」
「だな。
 俺が男だったとしても、そんな芸当は出来ねえ」
「そっすか」
「…まあでも、君にしては上出来な方かな。 褒美を遣わす」
「え―――?」
 戸惑う少年を他所に、俺は少年の体をそっと抱きしめた。
「あ、あの、狐さ―――」
「…ごめん」
 多分俺は、とてつもなく卑劣な奴なのだろう。
 少年の気持ちを知りつつ、それに答える覚悟も無いのに都合のいい時にだけ少年を求める。
 そして、俺はいつかこの少年を殺すのだろう。
「……」
 自己嫌悪に吐き気を催しそうになる。
 何が『九尾』だ。
 何が『最強の体現者』だ。
 本当の俺は、こんなにも脆弱で矮小な存在だというのに。
 それなのに、俺は、何かを殺す事しか考えられない。
 このままほんの少し力を込めれば、少年の背骨を折って殺す事が出来る。
 でも、そんな事はしない。
 殺したくはないから。
 まだ、殺すには早過ぎるから。
 もっと、もっともっと、もっともっともっと、
 少年の存在が俺の心の中で大きくなってからでないと、殺すのは勿体無い。
 違う。
 そんなんじゃない。
 俺は、そんな事など望んでなんかいない…!
「…少年」
「…はい?」
 その時俺は、本当は何が言いたかったのか。
 多分一生かけても、その答えは出てきはしないだろう。
「…死ぬなよ」
 だからこれが、今俺に言える精一杯の言葉だった。


                  〜番外編・了〜


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