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念を使わせてみよう小説スレッド
228
:
1
:2005/01/11(火) 23:07
〜四十二話〜
狐さんと女性との間の空間が歪んで見える。
視線と視線、死線と死線、殺意と殺意、圧力と圧力のせめぎ合い。
臨界寸前、爆発直前の緊張感。
「!!!」
均衡を破ったのは女性の方だった。
恐るべき速度で、狐さんに突っかける。
「教えてあげるわ!
アタシの名前は…!」
女性の右フック。
半歩下がってかわす狐さん。
「あ」
続けざまの左アッパー。
狐さんはそれを右の手の平で受け止める。
「や」
そこから女性は右ストレートに連携。
狐さんは首を横に傾け紙一重でそれを避けた。
「め」
今度は右でのローキックが来た。
しかし狐さんはお見通しとばかりに、足を折り曲げてしっかりとガードする。
「零母那(れもな)よ!!」
レモナと名乗った女性は、受け止められた足を戻すことなく、
そのまま右のハイキックへと移行させる。
普通ならそんな無理な体勢で蹴りを放ってもダメージにはならない筈なのだが、
レモナさんの繰り出したそれは充分に人間を昏倒させしめる威力を持ったものだった。
「そう…」
狐さんが左腕でそのハイキックを防御。
頭部への直撃を回避する。
「かよォッ!」
今度はこちらの番だと、狐さんがレモナさんの胴体に左のミドルキックを放つ。
巨木さえ易々と薙ぎ倒しそうな程の、必殺の破壊力を秘めた蹴り。
「!!!」
レモナさんは胸のあたりで腕を十字に交差させ、狐さんのミドルキックをガードした。
蹴りの威力は完全に相殺出来なかったのか、
蹴りの勢いそのままにレモナさんが後ろに飛ぶ。
しかしレモナさんは大したダメージではないとばかりに、
10メートル程後方に飛んだ所で、悠々と両足で着地した。
「らあああ!!」
狐さんが逃さずレモナさんに踊りかかる。
さながら、獣のような勢いで。
「らあッ!」
技術も糞もない、右腕での豪快な一薙ぎ。
腕の軌道上の全てを破壊し尽くす、一撃必殺の一撃。
「ふッ…!」
短く息を吐き出し、レモナさんが身を屈めてその一撃をかわす。
同時に、レモナさんの右手は狐さんの胸に置かれていた。
まずい。
あれは、ギコが倒された時の―――
「狐さ…!」
「『小波(キリングパル―――」
駄目だ。
よく分からないが、あの手は危険―――
「!!!」
直後、レモナさんの体が再び後方に吹き飛んだ。
狐さんが、レモナさんの手が体に触れるとほぼ同時に前蹴りを放ったからだ。
「くぁッ…!」
今度はガード出来なかった為、レモナさんは受身も取れずに地面に叩きつけられる。
鳩尾への足先による蹴り込み。
息が出来ない程の苦痛の筈だ。
「くッ…!」
と、狐さんの体も僅かにぐらつく。
見ると、口の端からは一筋の血が流れていた。
どうやら、狐さんの方も無傷とはいかなかったらしい。
「……!」
僕はゴクリと唾を飲み込んだ。
こんな、馬鹿な。
狐さんと、接近戦でここまで戦える人が居たなんて…!
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