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念を使わせてみよう小説スレッド

2251:2005/01/11(火) 00:59

「逃げろ!
 タカラギコ!」
 叫んで、ギコは女性に向かって突進した。
 しかし、動けない。
 僕の足は、金縛りにでもあったかのように、
 地面に縫い付けられているかのように、
 1ミリたりとも動かなかった。
「う、おおおおお!」
 ギコが一気に間合いを詰め、女性の首目掛けて刀を横薙ぎ。
 しかし女性はバックステップで軽々とその一閃を回避する。
 続けざまの、ギコの返しの刃。
 だがそれすら、まるで最初から分かっていたかのように、
 女性は体を僅かに右にずらしただけであっさりと攻撃を無効とする。
「ちィッ!」
 ならば、とばかりにギコは心臓に向けて突きを放つ。
 雷光の如き、高速の突き。
 しかし女性にしてみれば、それすら止まったように見えていたのであろう。
 素手の手の平で、刀身の横の平たい部分を払い、
 突きの軌道を強制的に別の方向へとずらす。
 それにより、ギコの突きはあらぬ方向へと空振りした。
「……!」
 絶句するギコと僕。
 これは、何だ?
 あのギコが、まるで子供扱いだ。
 戦いにすら、なっていない。
「いい太刀筋ね。
 荒削りながら、基本はちゃんと押さえてある。
 剣術の腕前は既に一流といった所かしら」
 ギコの斬りを苦も無くかわし続けながら、女性が告げる。
 ギコにしてみれば、厭味にしか取れないだろうけど。
「でも、超一流を相手にするには、まだまだ修行が足りないわね」
 女性がそういった時には、既に女性の右の手の平がギコの胸部に接触していた。
 スピードもパワーも無い。
 ただ、手の平をポンと置いただけ。
 それだけなのに、僕はとてつもない危険をその行動の中に感じ取った。
「ギコ!
 逃げ―――」
「『小波(キリングパルス)』」
 その女性の呟きと同時に、ギコの体が一度大きく震えて、
 そのままピタリと動きを止めた。
 何だ。
 今、何が起こ…
「!!!」
 直後、ギコの目から、花から、口から、赤い血が溢れ出した。
 そのまま、ギコはその場に倒れ伏す。
「…勘のいい子ね。
 インパクトの寸前に体の芯をずらして、致命傷の直撃を回避するなんて。
 即死させるつもりだったんだけどね」
 女性が驚いた封に倒れたギコを見下ろす。
 ギコは倒れたまま、ビクンビクンと体を痙攣させていた。
 どうやら、まだ生きてはいるらしい。
 しかし、生きているだけと言った方が正しかった。
「でも、しばらくは起き上がれないでしょ。
 それだけの時間があれば、充分過ぎるわ」
 女性が僕の方に向き直った。
 ヤバい。
 物凄く、ヤバい。
 逃げなくちゃ。
 逃げなくちゃいけないのは分かっているのに…
 体が、動かない。
 まるで、死に魅入られてしまったかのように。


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