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念を使わせてみよう小説スレッド

2241:2005/01/11(火) 00:58
 〜四十一話〜

 人の姿をした化物―――
 このカチューシャの女性を見た瞬間から、僕はそう感じていた。
 隣のギコも相当な異端ではあるが、この人はそんなのとは違う。
 比べ物にすらならない。
 それ程、女性の醸し出す雰囲気は常軌を逸するものであった。
「本当、殺すのが惜しい位の坊や達ねえ。
 でも、仕事を放り出す訳にもいかないの。
 悪く思わないでね」
 何が悪く思わないでね、だ。
 お前みたいな人外が、人を殺すのに一々何か考えているとでもいうのか。
「随分とまあ余裕こいてんな、おい」
 ずい、とギコが刀を構えて一歩前に進み出る。
 しかし、女性のそれは単なる余裕なんかではなく、
 確かな実力に裏打ちされた自信である事をギコは感知している筈だ。
 はったりじゃない。
 この人の、実力は。
「あら、先ずはあなたからかしら?」
 女性が微笑む。
「そうだよ」
 ギコが僕を女性から覆い隠すように、僕の前に立つ。
「…おい」
 僕にだけ聞こえる小声で、ギコが僕に話しかけた。
「俺が時間を稼いでる間に逃げろ。
 …多分あいつには、俺達がどう逆立ちしたって勝てねえ」
 そんな。
 それじゃあ、ギコ、お前はどうするんだ?
「時間稼ぎが出来るとでも思っているのかしら?」
 どうやら、女性にもギコの会話が聞こえてしまっていたようだ。
 かなり五感が鋭いらしい。
「親切心で言っておくけど、何やっても無駄よ。
 どうせ―――」
 女性が僕に視線を向ける。
「アタシから逃げられる訳なんて、ないんだから」
 ――――――!
 一瞬、僕の心臓が、停止した。
「……!
 かはッ…!」
 息が出来ない。
 目の奥が痛い。
 足がガクガクする。
 体に力が入らない。
 今のは、殺気!?
 いや、殺気なんてもんじゃない。
 あの女性がそのつもりなら、確実に僕は死んでいた。
 蛇に睨まれた蛙、なんてもんじゃない。
 ヤマタノオロチに睨まれたアマガエルだ。
 動けない。
 ピクリとも、体が動かない。
 動いても、逃げても無駄だと、僕の肉体が判断してしまっているのだ。


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