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念を使わせてみよう小説スレッド

2231:2005/01/10(月) 02:40

 パチ、パチ、パチ

 突然、拍手の音がどこからか聞こえてきた。
「……!」
 ギコが急いで周囲を警戒する。
 僕も辺りを見回すが、近くに人の姿は確認出来ない。
 何だ?
 誰だ?
 どこから―――
「いや、素晴らしい演説ね。
 アタシ、感動しちゃったわ」
 闇の中から溶け出すかのように―――一人の女性が僕達の前に現れた。
 カチューシャの似合う、20代前半と思しき妙齢の女性。
 胸はかなり大きくて、僕好みではないのだが… ここではそんな事はどうでもいい。
 異様なのは、こうして目の前に姿があるというのに、
 この女性からは恐ろしい程気配が感じられないという事だ。
 まるで、最初からそこには存在していないのではないかと錯覚する程、
 完璧に気配が消えてしまっているのだ。

 この人、危険だ―――

 体の全細胞が、目の前の女性に対して全力で危機を告げる。
 何だこいつは。
 この化物に比べたら、さっきの怪物なんて赤ん坊も同然だ。
 そう思わせるだけの凄みが、この女性にはあった。
「……!」
 ギコも僕と同じように、頗る付きの危険を感知したらしい。
 冷や汗を浮かべながら、中段に刀を構える。
「あら。
 あらあらあらあらあら。
 よく見たら二人とも結構可愛いじゃない。
 特にそっちの坊や、アタシのタイプよ」
 女性が僕に対して目を向ける。
 そりゃどうもありがとう。
 ちっとも嬉しくない。
「でも…
 でもでも…
 ああでも本当に…
 本当に残念ねぇ」
 女性がわざとらしく頭を横に振りながら、これまた大袈裟に溜息をつく。
「こうして“ここ”で遭ってしまった以上、殺さなくちゃならないんだからねぇ」
 恐ろしく怖ろしく悩ましく艶やかしく怪しく妖しく、
 妖しく―――
 女性がルージュを塗った唇を、犯(可笑)しそうに吊り上げた。


                    〜続く〜


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