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念を使わせてみよう小説スレッド
223
:
1
:2005/01/10(月) 02:40
パチ、パチ、パチ
突然、拍手の音がどこからか聞こえてきた。
「……!」
ギコが急いで周囲を警戒する。
僕も辺りを見回すが、近くに人の姿は確認出来ない。
何だ?
誰だ?
どこから―――
「いや、素晴らしい演説ね。
アタシ、感動しちゃったわ」
闇の中から溶け出すかのように―――一人の女性が僕達の前に現れた。
カチューシャの似合う、20代前半と思しき妙齢の女性。
胸はかなり大きくて、僕好みではないのだが… ここではそんな事はどうでもいい。
異様なのは、こうして目の前に姿があるというのに、
この女性からは恐ろしい程気配が感じられないという事だ。
まるで、最初からそこには存在していないのではないかと錯覚する程、
完璧に気配が消えてしまっているのだ。
この人、危険だ―――
体の全細胞が、目の前の女性に対して全力で危機を告げる。
何だこいつは。
この化物に比べたら、さっきの怪物なんて赤ん坊も同然だ。
そう思わせるだけの凄みが、この女性にはあった。
「……!」
ギコも僕と同じように、頗る付きの危険を感知したらしい。
冷や汗を浮かべながら、中段に刀を構える。
「あら。
あらあらあらあらあら。
よく見たら二人とも結構可愛いじゃない。
特にそっちの坊や、アタシのタイプよ」
女性が僕に対して目を向ける。
そりゃどうもありがとう。
ちっとも嬉しくない。
「でも…
でもでも…
ああでも本当に…
本当に残念ねぇ」
女性がわざとらしく頭を横に振りながら、これまた大袈裟に溜息をつく。
「こうして“ここ”で遭ってしまった以上、殺さなくちゃならないんだからねぇ」
恐ろしく怖ろしく悩ましく艶やかしく怪しく妖しく、
妖しく―――
女性がルージュを塗った唇を、犯(可笑)しそうに吊り上げた。
〜続く〜
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