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念を使わせてみよう小説スレッド

2221:2005/01/10(月) 02:40

「…済んだぜ」
 刀を鞘に納め、ギコが静かに告げた。
 今のは、何だ!?
 あれが、ギコの能力なのか!?
「ギコ、あんな硬い鱗をどうやって…?」
 マナー違反と知りつつも、僕は思わずギコに訊ねた。
「確かに硬い鱗だった。
 あれをそのまま斬る腕は、まだ俺には無い。
 だが…」
 ギコが勿体つけたようにそこで一旦言葉を止める。
「…分子結合を直接消滅させれば、簡単さ。
 物質は分子の繋がりで構成されてるって、理科で習ったろ?」
「じゃあ君は、物質を分子レベルで分解出来る能力なのか!?」
「いいや違うね。
 それも可能だが、そんなのは一端に過ぎねえ。
 あとは自分で考えな」
 それ以上は教えぬとばかりに、ギコが会話を打ち切る。
 本当に―――どういう能力なんだ?
 あれが、僕の真似するべき能力なのだとして…
 しかしそれを理解しない事には始まらない。
 僕の念能力はあらゆるものをコピーする事だが、
 理解不能なものをコピーするのは流石に無理だ。

「…しかし、他には何も言わないんだな」
 見下げ果てたというように、ギコが僕に言った。
「?」
 何の事だか分からず、僕は首をかしげる。
「さっきの男を殺した時には、殺すなだの何だの言ってた癖に、
 この怪物を殺した事に対しては何も言わないんだな、つってんだよ」
「―――!」
 僕は言葉を失った。
 ギコの言う事は尤もだったからである。
「さっきのも、今のも、同じ殺しだぜ?
 なのに何で俺を責めない?
 それとも…」
 言うな。
 それ以上は、言わないでくれ。
「人間じゃなければ、いくらでも殺していいってのか?」
 真っ直ぐと、ギコは僕の顔を見てそう告げた。
 僕はギコの顔を正面から見る事が出来ない。
 何て、偽善者なんだ、僕は。
 山崎渉さんもこの怪物も、同じ命である事に変わりは無い。
 そんな事を、僕は見落として…
 いや、知りつつも敢えて目を逸らしていた。
 しかしギコは恐らく、山崎渉さんと怪物との命を差別はしなかっただろう。
 あくまで同じ命と見なした上で、殺した筈だ。
 人でなしなのは、僕の方だった。


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