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念を使わせてみよう小説スレッド

2151:2005/01/07(金) 18:42
 〜三十九話〜

「ぎゃあああああああああああああああああ!!」
「うわあああああああああああああああああ!!」
 遠くから、悲鳴のような声が聞こえてくる。
 いや、これはもう悲鳴なんてものじゃない。
 断末魔の叫び、と形容すべきだ。
 どこかで、誰かが戦っているようだが―――しかし、
 いくら何でも今の絶叫は凄まじ過ぎる。
 まさか、本当に殺し合いが起こっているとでもいうのか?
 ハンター試験とは、それ程のものだったのか!?
「ギコ―――」
 僕は隣のギコに顔を向けた。
 ギコは相変わらず、仏頂面のまま木にもたれて座っている。
「……!」
 と、ギコが何かを察知したのかすくっと立ち上がる。
「…おいでなすったようだぜ」
 抜刀しながら呟くギコ。
「おいでなすったって、誰が…?」
「夕方、俺らを襲った奴だ」
 確信を込めた口調でギコが断言する。
 どうしてそんな事まで分かるのだろう。
 狐さんといいこいつといい、強い人というのは一種の変体性を内包しているようにも思える。
「逃げなくていいのか?」
「逃げ切れるような相手じゃねえよ。
 それに、まあ、こっちにはアドバンテージがある」
 言って、ギコは先程せっせと拵えた罠に視線を移した。
 罠と言っても、虎ばさみとか地雷とかそんな大層なものではなく、
 そこら辺に落ちていた紐や草木の幹や茎で即興で設えた、
 ごくごく初歩的な鳴子や足引っ掛けである。
 これでは、ウサギすら殺す事は出来まい。
 それも、素人である僕でも少し注意すればどこに罠があるのか判別出来る。
 周囲一帯に数こそ多く仕掛けているものの、こんなのに引っかかる奴がいるとは思えない。
「…君は、本気でこんな罠が通用すると思っているのか?」
「ああ」
 言い切りやがった。
 まずい、こいつ馬鹿だ。
「まあ、大人しく横で見物してろって。
 細工は流々、後は仕上げを御覧じろってな」
 ギコは刀を構えながら、肉食獣の笑みを浮かべた。


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