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念を使わせてみよう小説スレッド

2121:2005/01/05(水) 22:59

 だが、ここで予想外の事態が起こる。
 彼らを始末する為の追っ手が差し向けられた事だ。
 しかし予想外だったのは追っ手が差し向けられた事自体ではない。
 それぐらいは、D−1達も覚悟していた。
 本当に予想外だったのは、
 その追っ手が、自分達すら凌駕するような化物だった事である。
 信じられない現実だった。
 凡そ考えられる限りの強化改造を受けた自分たち『Dシリーズ』が、
 生身の人間に圧倒されたのである。
 命からがら、この樹海まで逃げては来たが―――
 それでも、ここに到着するまでに多くの仲間が失われた。
 残るのは自分を含め、D−3、D−12の三人。
 しかし現在は、その仲間達ともはぐれてしまっている。
 彼らは、まだ生きているだろうか。
 D−1の胸が不安で埋め尽くされる。
 いくら彼らとはいえ、あんな化物と正面から戦っては一たまりも無い。
 何とか、無事逃げ延びていて欲しいものだ。
 …だが、今は人の心配をしている場合ではない。
 自分もまた、あの化物の標的だからだ。
 幸いここは隠れる場所には事欠かない。
 どうにかして、あいつらを撒く事が出来れば…
 そんな事を考えながら、D−1がただ独り月を見上げているのだった。



          @        @        @



 火瓦谷尾四里須(ひがや おしりす)、通称オシリスにとって、
 このハンター試験は3度目の受験であった。
 前回、前々回は1次試験すら突破出来なかったが、
 今回こそは試験に大きな手応えを感じていた。
 いける。
 今日まで、死ぬ気で鍛錬を続けてきた甲斐があったというものだ。
 思えばハンター試験の為に、様々なものを犠牲にしてきたと思う。
 恋人にも色々と苦労をかけさせてしまった。
 しかし、それも今回までだ。
 今年こそ、ハンター試験に合格する。
 そうしたら―――
 あいつに、「結婚しよう」ってプロポーズしよう。

 オシリスはポケットから小さな指輪を取り出し、見つめる。
 ささやかながら、今までコツコツと貯めてきたお金で買った婚約指輪だ。
 ハンターの仕事が入ったらもっと大きなダイヤの指輪を買ってやるつもりだが、
 今はこれが精一杯だ。
 それでも、あいつは喜んでくれるだろうか…
 いいや、きっと喜んでくれる。
 だから、俺は精一杯あいつを幸せにしてやる。
「…よし」
 決意を固め、オシリスは指輪を再びポケットの中へとしまった。
 まずは、この4次試験を合格しなくては。
 既に自分が逃げてから2時間が経過したから、そろそろ鬼が探しに来ている筈だ。
 これから24時間、何としても逃げ延びて―――
「……?」
 不意に、オシリスは背後に生き物の気配を感じた。
 しまった、もうここまで鬼役の試験官が―――!
 オシリスは慌てて振り返る。
 しかし、彼がそこで目にしたのは試験官などではなく、
 いいや、そもそも人間ですらなく…
「あ、あ、あああああああああああああああああああ!?」
 そこに居たのは、怪物だった。
 2メートルを軽く超える身長で、体の表面が固い鱗のようなもので覆われている。
 どこからどう見ても、4次試験の試験官とは思えない。
「うわあああああああああ!」
 真っ先にオシリスの取った行動は、怪物からの逃亡だった。
 そして、それは恐らく最も有効な手段だったであろう。
 だが…
「!!」
 怪物はその剛堅な体躯に似合わぬ速さで、がっしりとオシリスの腕を掴んだ。
 そしてそのままオシリスを持ち上げ、勢い良く地面に叩きつける。
「!!
 ぐあ!
 がああああああああああッ!!」
 倒れたまま苦悶の叫びを上げるオシリス。
 しかし怪物はそんなオシリスに構わず、足で彼の頭を踏み締めた。
 グチャリ。
 嫌な音を立てて、オシリスの頭が圧壊する。
 それきり、オシリスは二度と動かない。
「グ、グルウウウウウウウウウウウウウ…」
 怪物が、オシリスを足蹴にしたまま天を見上げて唸り声を漏らした。
「ニクイ… ニンゲン、ニクイ…!
 ニクイ、ニクイイイイイイイイイイイイイイイイイIIIIIEEEEEEE!!!」
 怪物の咆哮が大気を揺らす。
 オシリスは知らなかったろうし、また知っていても意味の無い事だったであろうが…
 この怪物こそ、『Dシリーズ』でありD−1の仲間、D−12であった。


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