したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

念を使わせてみよう小説スレッド

2071:2005/01/04(火) 22:13
 〜三十七話〜

 草木を掻き分けながら、僕達は樹海の中を進んでいた。
 とはいえもう日はほとんど沈みかけている為かなり視界は悪く、
 ゆっくりとしたペースでしか進めない。
「なあ、ギコ。
 懐中電灯か何か無いのか?」
「あるけど」
「なら、どうして使わないんだよ」
「馬鹿かお前は。
 そんなもん使ったら、光で位置を掴まれるかもしれないだろうが」
 やれやれといった風にギコが言う。
「大丈夫だよ。
 2時間経たなきゃ鬼は追ってこないんだろ?」
「このアホ。
 お前本当に、敵が鬼である試験官だけだと思ってんのか?」
「?」
「受験者が、他人を蹴落とす為に妨害してこないなんて保証がない事くらい、
 さっきので分かってるだろうが」
 あ、そうか。
 考えれば当たり前の事だった。
 この状況、ゲリラ戦にはうってつけの舞台である。
 ここまでお膳立てが整えてあって、何もしないような善人ばかりである筈がない。
「ごめん」
「ったく、お前本当に抜けてんなー」
 悪かったなこのロリコン。
「しかしギコ、どこまで行くんだ?」
「出来るだけ遠く、樹海の奥にまで、だ。
 可能な限り鬼から離れておくのに越した事はねえからな」
 だけど、随分奥の方まで歩いて来たぞ。
 まさかとは思うが、このまま本当に遭難するんじゃねえだろうな。
 それにしても、さっきから何か変な臭いがするんだが…
 もしかして、ギコがすかしっ屁をしたのだろうか。
「……?」
 と、僕の足元に落ち葉や雑草とは違う感触があった。
 眼を凝らして見てみると… どうやら、かなり古ぼけたバッグみたいだ。
「どうした?」
 ギコが足を止めた僕の方に向く。
「いや、これ…」
 僕は足元のバッグを指差した。
「…あー。 多分お前の思ってるので正解だな」
 そう。
 多分僕とギコが思っているので正解。
 これはやっぱり、遺留品っていうやつか。
「…本当に、ここに自殺しにくる人って居たんだね」
 僕は呟いた。
 帰りたい。
 もう家に帰りたいです。
 ここ、何か恐い。
 絶対怨霊とか出てくるよ、きっと。
「だろうな」
 そっけなく、ギコは返事をした。
 やれやれ。
 しかし夜という事もあるし、本当に気味が悪いな。
 自殺した死体とか見つけちゃったりしないだろうな…

 ドン

 余所見をしていた所為で、僕は不意に何かにぶつかってしまった。
 木かと思ったが、感触が違う。
 何だろうと思って前を見てみると―――



 ―――ぶつかったのは、首吊り死体だった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板