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念を使わせてみよう小説スレッド

2031:2005/01/03(月) 02:34

「がッ!!」
 ギコが悲鳴をあげる。
 その腹部からは、鮮血が滴っていた。
 狙われたのは、ギコだった。
「ギコ!!」
 僕はすぐさまギコに向かって走り出そうとした。
「!!!」
 が、
 突然、
 その足が、
 止まる。
 ギコの眼がまだ死んでいなかったから、
 近寄ればそれだけで殺されてしまいそうな、
 そんな眼をしていたからだ。
 そう思った時には、既にギコは動いていた。
 敵から攻撃を喰らった瞬間―――
 その直後というより、ほぼ同時に、
 攻撃を受けた方向から敵の居る位置を予測して、
 そこ目掛けて刀を振るったのである。
「!!!」
 何も無い空間から舞う血飛沫。
 どうやら、ギコの斬撃は見事にヒットしたみたいだった。
「くッ…!」
 僕のともギコのとも違うくぐもった声がし、
 誰かが走り去っていくような足音だけが聞こえた。
 しかし、それもすぐに聞こえなくなる。
 多分、これ以上の戦闘は無益と考えた敵が逃げて行ったのだろう。
「待て…!
 逃げんじゃねえ…!」
 口から泡のような血を吐きながら、ギコが敵を追おうとする。
「ギコ、やめろ!」
 僕はギコを止めた。
 とっさに急所は外したみたいではあるが、
 あの傷はどうみても命に関わる重唱である。
「ちッ…!」
 ギコもここで深追いする程冷静さを失ってはいなかったのか、大人しく敵を追うのを中断する。
「大丈夫か?」
 僕はギコに訊ねた。
「大丈夫じゃねーっつーの!
 腹刺されてんだぞ?
 すげえ痛えに決まってるだろ…!」
 脂汗を流しながらギコが呻くように呟く。
「悪いけど、救急車呼んでくんねえ?
 俺、このままだとすげえやべーわ。
 つーか死ぬ」
 成る程ギコの腹からは止めど無く血が流れ続けていた。
 このままだと、出血多量で危険な状態になってしまうだろう。
「それはいいが、ハンター試験はどうするんだ?」
「あ…」
 ギコが「しまった」という顔をする。
「ギコ、ありがとう。
 君の尊い犠牲は決して忘れないよ…」
「待てやおい!
 勝手に人をリタイヤさせんな!」
「そうは言ってもそんな怪我でどうするんだ。
 病院で然るべき処置を受けなきゃ、君死ぬかもしれないんだぞ?」
「だけど、ここまで来て諦められっか!
 ああ、畜生。
 こんな時治癒系の念が使えりゃあ…」
「あ」
 僕は思わず声を出した。
「何だよ、『あ』って」
「いや、そういや僕、治療の能力も使えるんだった」
 すっかり忘れていた。
 モラックジャック先生の念能力を、僕はコピー出来るんじゃないか。
 跡形も無く傷を消すのは無理かもしれないが、
 応急処置としては充分過ぎる位の効果は見込めるだろう。
「おお!
 そりゃ丁度いいや!
 すぐにでも頼む!」
「……」
「おい、どうしたんだよ。
 早くしろって」
「……」
「おい!」
「…君、そういや巨乳の方が好きって言ってたよね」
 その時の僕の顔は、きっと見た事が無い位邪悪なものだったであろう。
「…ま、まさかお前」
「ああ!
 急に僕の念能力が使えなくなってしまったぞ!
 これは大変だ!
 でも、もし今ここに貧乳好きな人が現れたら、
 能力が復活するかもしれない!」
「ざけんな!
 言っとくが、俺は巨乳マニアである自分を裏切るような真似はしないからな!
 俺は比喩でなく、巨乳に命を捧げれる男だ!
 巨乳信仰をやめさせられるくらいなら死んでやる!!」
「なら死ね!」
 僕とギコは、またもや下らない喧嘩を始めるのであった。


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