したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

念を使わせてみよう小説スレッド

2021:2005/01/03(月) 02:34
 〜三十六話〜

 不可視の刺客が、どこからか僕達を狙っている。
 その緊張感が、僕の心臓を締め付けていた。
「…壁に背中を預けとけ」
 こちらには顔を向けずに、ギコが僕に告げる。
 言われた通り、僕は壁にもたれかかるように背中をつけた。
 これで、少なくとも背中から攻撃を受ける事は無いだろう。
 だがギコは、通路の真ん中に立ったまま動こうとしなかった。
「ギコ、君も壁に背を預けるんだ!」
 僕は叫ぶ。
 しかし、ギコはまるでそんな事聞こえていないかのように、つっ立ったままである。
「ギコ!」
 あいつは何をやってるんだ!?
 このままじゃ、格好の標的じゃないか。
「……!」
 まさか。
 ギコは敢えて、自分の身を危険に晒しているのか?
 自分が囮になって、敵の攻撃の矛先が僕に向かないように―――
 そういう事なのか!?
「ギコ!」
「動くんじゃねえ!」
 駆け寄ろうとした僕を、ギコが大声で怒鳴って押し止める。
「だけど、このまじゃ君が…」
「勘違いすんなよ。
 こうするのが、俺達が勝つのに一番合理的だと思っただけだ。
 別に、お前を庇おうとかそういう青臭えもんじゃねえ」
 苦笑するギコ。
 しかし、目は笑っていない。
「おら、どうしたよ。
 来るならさっさと来やがれ腰抜け。
 早くしねえとお前まで失格になっちまうぞ?」
 ギコが見えない敵に向かって罵声を浴びせる。
 そうだ。
 この試験の合格定員は30人なのだ。
 もたもたしていたら、枠があっという間に埋まってしまう。
「……」
 沈黙。
 静寂。
 不気味な。
 異様な。
 来る。
 どこから?
 上?
 横?
 下?
 後ろ?
 前?
 まだ、来ない。
 考えているのか。
 僕とギコ、どちらを狙うのか。
 どこから狙うのか。
 だけど、もう間も無く攻撃は来るだろう。
 僕であれ、ギコであれ。
 時間が無いのは向こうも同じなのだ。
 余り時間を掛けすぎれば、敵も30人の定員に入れなくなる恐れがあるからだ。
 来る。
 来る。
 来る。
 今にも敵は僕達に―――


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板