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念を使わせてみよう小説スレッド
202
:
1
:2005/01/03(月) 02:34
〜三十六話〜
不可視の刺客が、どこからか僕達を狙っている。
その緊張感が、僕の心臓を締め付けていた。
「…壁に背中を預けとけ」
こちらには顔を向けずに、ギコが僕に告げる。
言われた通り、僕は壁にもたれかかるように背中をつけた。
これで、少なくとも背中から攻撃を受ける事は無いだろう。
だがギコは、通路の真ん中に立ったまま動こうとしなかった。
「ギコ、君も壁に背を預けるんだ!」
僕は叫ぶ。
しかし、ギコはまるでそんな事聞こえていないかのように、つっ立ったままである。
「ギコ!」
あいつは何をやってるんだ!?
このままじゃ、格好の標的じゃないか。
「……!」
まさか。
ギコは敢えて、自分の身を危険に晒しているのか?
自分が囮になって、敵の攻撃の矛先が僕に向かないように―――
そういう事なのか!?
「ギコ!」
「動くんじゃねえ!」
駆け寄ろうとした僕を、ギコが大声で怒鳴って押し止める。
「だけど、このまじゃ君が…」
「勘違いすんなよ。
こうするのが、俺達が勝つのに一番合理的だと思っただけだ。
別に、お前を庇おうとかそういう青臭えもんじゃねえ」
苦笑するギコ。
しかし、目は笑っていない。
「おら、どうしたよ。
来るならさっさと来やがれ腰抜け。
早くしねえとお前まで失格になっちまうぞ?」
ギコが見えない敵に向かって罵声を浴びせる。
そうだ。
この試験の合格定員は30人なのだ。
もたもたしていたら、枠があっという間に埋まってしまう。
「……」
沈黙。
静寂。
不気味な。
異様な。
来る。
どこから?
上?
横?
下?
後ろ?
前?
まだ、来ない。
考えているのか。
僕とギコ、どちらを狙うのか。
どこから狙うのか。
だけど、もう間も無く攻撃は来るだろう。
僕であれ、ギコであれ。
時間が無いのは向こうも同じなのだ。
余り時間を掛けすぎれば、敵も30人の定員に入れなくなる恐れがあるからだ。
来る。
来る。
来る。
今にも敵は僕達に―――
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