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念を使わせてみよう小説スレッド

2001:2005/01/02(日) 00:10





「お〜、やっとついたか」
 静岡駅の改札口を通り、ギコが大きく背伸びをする。
 時刻は今現在午後5時過ぎ。
 夏とはいえ、そろそろ辺りは暗くなり始めていた。
「ところで、富士山の麓までどうやって行く?」
 僕はギコに聞いた。
「適当に人に道を訊ねながら、バスとか電車を使えばいいさ。
 タクシーだと金がかかるし、こんな時間から『富士山の樹海まで』なんて言ったら、
 自殺志願者と間違われるかもしれねえし」
 こいつにしては常識的な意見だ。
「それじゃ駅員さんに聞いてみるよ。
 もしかしたら、駅から富士山の近くまでの直通の電車かバスが出てるかもしないし」
 そう言い、駅のホームに戻ろうとする僕の腕を、ギコの手が掴んだ。
「待った。
 その前に、やるべき事がある」
 それだけ告げると、ギコは強引に僕の腕を引っ張って場所を移そうとする。
「おい、一体どこへ行く―――」
「しっ。 あんま大きな声を出すな。
 …尾行(つ)けられてる」
「――――――!」
 反射的に振り向こうとする僕を、ギコが制した。
「尾行されてたって…?
 いつから?」
 ひそひそ声で、僕はギコに訊ねる。
「静岡駅のホームに下りた時からずっとだ。
 あるいは、もっと早くからかもしれない」
 後ろを見ずに歩きながら、同じくギコが小声で話す。
「でも、どうして…」
「多分狙いはお前だ。
 これからの試験で、障害になりそうな念能力者を始末するつもりなんだろうよ」
「……!」
 くそ。
 やっぱりそうだったか。
 仕方無かったとはいえ、腕相撲の時に念を使ったりするんじゃなかった。
「…何人、ついて来てるんだ?」
「気配の感じからして、1人だな。
 ただの馬鹿か、それとも相当自信があるのか」
 僕が考えるに、恐らく後者。
 ギコも同じ意見だろう。
「…ギブアップすれば許してくれるかな?」
「そんなのが通用すると思うか?」
 質問に質問で返すな、と言いたかったが、僕は黙ったまま首を横に振った。
 これは試験ではないのだ。
 ギブアップなんて上品な手段、相手が認める訳が無い。


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