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念を使わせてみよう小説スレッド
198
:
1
:2005/01/02(日) 00:08
〜三十五話〜
「だーかーらー!
ナース服の方が萌えるに決まってるだろうがゴルァ!」
「いいやこれだけは譲れないね。
巫女服こそ至上の萌えコスチュームだ」
静岡に向かう新幹線の中で、僕とギコは熱い討論を交わしていた。
議題は『巫女服とナース服どっちが萌えるのか』。
ミコミコナースの歌の話題に端を発したこの議論は、既に30分目を迎えようとしている。
「いいか!?
ナース服の看護婦さんの別名は『白衣の天使』だ。
そして天使と言ったら神様。
つまり、ナース服は唯一神ヤハウェの恩恵を受けた究極の萌えコスなんだよ!」
「何が唯一神だ、この伴天連かぶれの売国奴め。
日本男児でありながら、毛唐のランチキ衣装にうつつを抜かすなど恥ずかしくないのか。
そっちが唯一神なら、こっちは八百万の神霊だ」
お互いに一歩も譲らない僕とギコ。
「あの、お客様…
申し訳ありませんが、他のご乗客の迷惑になりますので…」
見かねた車掌さんが僕達の間に割り込んで来る。
「す、すみません…」
「悪かったな、ゴルァ…」
第一回僕VSギコチキチキ討論バトル、水入りによって引き分け。
「しかし、本当に運が良かったな」
袋からカロリーメイトを取り出して齧るギコ。
この馬鹿が鬼のようにカロリーメイトばっか購入しやがったので、
袋の中にはまだカロリーメイトがぎっしり詰められている。
絶対後で金払わせてやる。
絶対後で金払わせてやる。
「運?」
「すぐに目的地が見つかった事だよ。
もしかしたら、今んとこ俺らが一位なんじゃねえの?」
ギコが一箱目のカロリーメイトを食べ終え、次の箱に手を伸ばす。
「ふうん、運が良い、ねえ」
「何だよその奥歯に物が挟まったような物言いは」
憮然とした表情で、ギコが僕に言う。
「いや、別に。
ただ、あれを単なるラッキーと受け取る程、
僕は楽観的な人生を送ってないんでね」
たまたま僕が訊ねた人が、たまたま写真の風景を知っている。
それは決して可能性が0な訳ではないけれど、
決してあり得るような事ではない。
それこそ何万分の、何億分の途方も無い確率の低さだ。
にも関わらず、僕はあの男性から写真の場所を聞き出す事が出来た。
これはもう、幸運を通り越して不自然だ。
ではあの毒男という男性は、僕を陥れる為のスパイか何かだったのだろうか?
いや、多分そうじゃない。
僕は無造作に無作為にあの男性を選んだ。
誰かに操作されたとは思えない。
それに、僕達があの図書館に行ったのだってたまたまだ。
だから、あの男性とは間違い無く偶然の産物として接触したのだ。
偶然。
単なる、偶然。
つまりは偶然が、僕を後ろから押しているのだろうか?
あの場所に僕が辿り着くように、運命が偶然という手段を介して仕向けているのだろうか?
運命―――
もしこれが運命だというのならば、
きっととんでもない事が、起きるのかもしれない。
何だ、このざわざわする、落ち着かない感じは。
何かがおかしい。
何かが噛み合っていない。
何かがずれてしまっている。
不安だ。
不快だ。
恐い。
怖い。
苛々する。
そしてその原因が全く掴めない。
全く理解出来ない。
全く感知出来ない。
待て。
この感じ、どこかで覚えがある。
そう、これは、狐さんと、始めて遭った時のような…
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