したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

念を使わせてみよう小説スレッド

1961:2004/12/31(金) 00:33





「遅いなあ…」
 東京駅のホームで、僕はギコが静岡行きの新幹線の切符を買ってくるのを待っていた。
 ギコが「俺が切符買ってくる」と言ったから、その好意に甘える事にしたのだ。
 しかし、何で僕があいつの切符代まで出さなきゃならないんだ。
 後で返すとギコは言ってたけど、本当に返してくれるんだろうな…
「はあ…」
 一つ息をついて、僕は携帯電話を取り出した。
 やる事も無いし、丁度いい時間つぶしにもなるので、
 狐さんに3次試験まで到達した事でも自慢しようと思ったのだ。
 電話帳を検索して、狐さんの番号に電話をかける。
「……」
 しかし、電話は留守電だった。
 ああ、そういやこの前新しいゲームを買ってたと言っていたな。
 となれば、そのゲームに熱中していたら電話に気づきはしないだろう。
 仕方が無いので、メールを打つ事にする。
「『ハンター試験で静岡に行く事になったんですが、お土産は何がいいですか?』」
 いきなり僕の打った文章を朗読する声が後ろから聞こえ、僕は咄嗟に振り返った。
「誰にメールしてるのかな〜?」
 やっぱりというか、声の正体はギコだった。
 こいつ、勝手にメールの文章覗きやがった…!
「誰でもいいだろ」
「恋人か?」
「うるせえ」
 何でお前にそんな事一々詮索されなくちゃならんのだ。
「大体、どこまで切符を買いに行ってたんだよ。
 遅いじゃないか」
 声に怒りを込めながら、僕はギコにそう言った。
「悪い悪い。
 買い物してたら時間かかっちゃってさー」
「買い物?」
「ああ。
 富士山の樹海に行くんだ。
 ある程度準備は必要だろうと思ってね」
 へえ。
 こいつもそこまで考えていたのか。
 これは僕が配慮が足らなかった。
 素直に反省しよう。
「そうか、そりゃすまなかった。
 で、なにを買って来たんだい?」
「おう、これだ」
 ギコが大きいビニール袋を僕の前に突き出す。
 その中に入っていたのは…
「……!」
 僕は袋の中身を見て絶句した。
 袋の中身。
 黄色の長方形の形をした、よく見慣れた紙の箱。
 それが、袋一杯に詰められている。
「…何、これ」
 僕は出来るだけ穏やかな声でギコに訊ねた。
「いやな、やっぱ樹海に入るなら非常食が必要だと思った訳よ。
 で、それに丁度いいものを買ったのさ。
 主にカロリーメイトとかカロリーメイトとかカロリーメイトとかカロリーメイト。
 あとカロリーメイトとカロリーメイトとカロリーメイトとカロリーメイト」
 眩暈を起こしそうな程、膨大な量のカロリーメイト。
 フルーツ味、チョコ味、チーズ味、ベジタブル味、
 それから飲料用カロリーメイトまで完全網羅。
「もしかして、このカロリーメイトに使ったお金って…」
「ああ。
 意外と切符代のお釣りが余ったんでな。
 全部注ぎ込ませて貰ったぜ」
 悪びれもせず、ギコは答えた。
 僕のお金が…
 僕の大切なお金が…
 全部カロリーメイトに…
「ギコ、君に一つ言いたい事がある」
「何だい。
 感謝や賞賛の言葉なら、24時間年中無休で受け付けてるぜ?」
「死ね。
 これ以上地球上の酸素を消費するな」
 生まれて始めての、心の底から本気での「死ね」という言葉だった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板