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念を使わせてみよう小説スレッド
196
:
1
:2004/12/31(金) 00:33
「遅いなあ…」
東京駅のホームで、僕はギコが静岡行きの新幹線の切符を買ってくるのを待っていた。
ギコが「俺が切符買ってくる」と言ったから、その好意に甘える事にしたのだ。
しかし、何で僕があいつの切符代まで出さなきゃならないんだ。
後で返すとギコは言ってたけど、本当に返してくれるんだろうな…
「はあ…」
一つ息をついて、僕は携帯電話を取り出した。
やる事も無いし、丁度いい時間つぶしにもなるので、
狐さんに3次試験まで到達した事でも自慢しようと思ったのだ。
電話帳を検索して、狐さんの番号に電話をかける。
「……」
しかし、電話は留守電だった。
ああ、そういやこの前新しいゲームを買ってたと言っていたな。
となれば、そのゲームに熱中していたら電話に気づきはしないだろう。
仕方が無いので、メールを打つ事にする。
「『ハンター試験で静岡に行く事になったんですが、お土産は何がいいですか?』」
いきなり僕の打った文章を朗読する声が後ろから聞こえ、僕は咄嗟に振り返った。
「誰にメールしてるのかな〜?」
やっぱりというか、声の正体はギコだった。
こいつ、勝手にメールの文章覗きやがった…!
「誰でもいいだろ」
「恋人か?」
「うるせえ」
何でお前にそんな事一々詮索されなくちゃならんのだ。
「大体、どこまで切符を買いに行ってたんだよ。
遅いじゃないか」
声に怒りを込めながら、僕はギコにそう言った。
「悪い悪い。
買い物してたら時間かかっちゃってさー」
「買い物?」
「ああ。
富士山の樹海に行くんだ。
ある程度準備は必要だろうと思ってね」
へえ。
こいつもそこまで考えていたのか。
これは僕が配慮が足らなかった。
素直に反省しよう。
「そうか、そりゃすまなかった。
で、なにを買って来たんだい?」
「おう、これだ」
ギコが大きいビニール袋を僕の前に突き出す。
その中に入っていたのは…
「……!」
僕は袋の中身を見て絶句した。
袋の中身。
黄色の長方形の形をした、よく見慣れた紙の箱。
それが、袋一杯に詰められている。
「…何、これ」
僕は出来るだけ穏やかな声でギコに訊ねた。
「いやな、やっぱ樹海に入るなら非常食が必要だと思った訳よ。
で、それに丁度いいものを買ったのさ。
主にカロリーメイトとかカロリーメイトとかカロリーメイトとかカロリーメイト。
あとカロリーメイトとカロリーメイトとカロリーメイトとカロリーメイト」
眩暈を起こしそうな程、膨大な量のカロリーメイト。
フルーツ味、チョコ味、チーズ味、ベジタブル味、
それから飲料用カロリーメイトまで完全網羅。
「もしかして、このカロリーメイトに使ったお金って…」
「ああ。
意外と切符代のお釣りが余ったんでな。
全部注ぎ込ませて貰ったぜ」
悪びれもせず、ギコは答えた。
僕のお金が…
僕の大切なお金が…
全部カロリーメイトに…
「ギコ、君に一つ言いたい事がある」
「何だい。
感謝や賞賛の言葉なら、24時間年中無休で受け付けてるぜ?」
「死ね。
これ以上地球上の酸素を消費するな」
生まれて始めての、心の底から本気での「死ね」という言葉だった。
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