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念を使わせてみよう小説スレッド

1941:2004/12/31(金) 00:33
 〜三十四話〜

 図書館で、僕は試験会場で渡された写真を食い入るように見つめていた。
 うっそうと生い茂った木々が乱立する森のような場所。
 木の葉で光が遮られているからなのか、風景はやや暗めだ。
 写真の右端の方に、何やら看板のような物が立っているのが分かるが、
 一部しか写っていない為、何が書かれているのかまでは判別出来ないが、
 どうやら茶色い看板であるようだ。
 写真が撮られた日付は7月20日と出ているから、
 ごく最近に撮られた写真にようだ。
 まあ日付を偽装している可能性もあるが、
 こう情報が少な過ぎては日付が嘘だろうとそうでなかろうと、余り違いは無いっぽい。
「おら、持って来たぞ」
 ギコが僕の座っている机の前にどさりと分厚い本を置く。
 植物百科事典。
 僕が頼んで持ってきて貰ったのだ。
「で、こんなもんどーすんだよ?」
 ギコが訊ねる。
「写真に写っている樹がどんなものなのかを調べる。
 もしかしたら、場所を特定出来るかもしれない」
「な〜る」
「分かったら君も一緒に調べろ。
 早くしないと、誰かに先を越されてしまう」
 へいへい、と言ってギコは百科事典を開き、
 写真に写っている樹と事典に写っている樹とを見合わせ始めた。





 一時間程調べて分かったのは、写真の樹はどれも、
 本州広くに分布している陰葉樹であるという事だけだった。
 つまり、収穫は殆ど無し。
 分かったのは、この写真は本州のどこかで撮られたものであるという事だけ。
「がー、どうすんだよこんなの!
 全然分からんねーよ!」
 ギコが頭を掻きながら叫ぶ。
「図書館で大声出すな、恥ずかしいだろ」
 そうは言っても、本当にどうしたものか。
 先着30名が合格定員と言っていたが、このままでは一生かかっても場所を特定出来そうにない。
 狐さんに聞いてみようか、とも思ったが、やめた。
 確かに狐さんならこんな問題などあっという間に解決してしまうのだろうけど、
 合格したら何でも言う事聞くとの約束を下以上、何も教えてはくれまい。
「…なあ、君の知り合いに、こういう分野に強い奴は居ないのか?」
 駄目もとでギコに聞いてみる。
「身内にこういう情報系に強い奴はいるけど、ちょっとな…」
「何か問題があるのか?」
「いや、実は俺、身内に内緒でハンター試験受けに来たんだわ。
 後で驚かせようと思って、こっそりとな。
 だからそいつに俺が試験を受けてるのをバラしたくないんだよ」
「そうは言っても、落ちたら元も子もないだろう」
「そうなんだが、もう一つ問題があるんだ。
 そいつの情報料、むっちゃ高いんだわ。
 お前今すぐに100万円以上用意出来るか?」
 成る程。
 そいつは無理な相談だ。
「僕は無理だね…
 君は?」
「俺も無理。
 俺、今3000円くらいしか持ってねーもん」
 となると、矢張りその情報屋を頼るのはNGみたいだ。
「でもどうするんだよ。
 このままじゃ、僕達ここで失格だぞ?」
「そーだよなー…」
 何の打開策も出ないまま、時間だけが無為に過ぎていく。
 どうしよう。
 このままじゃ、埒が開かない。


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