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念を使わせてみよう小説スレッド

1891:2004/12/30(木) 03:44
 〜三十三話〜

「!!」
 またもや、誰かの足にロープが引っかかって失敗した。
 これで、通算79回目の失敗。
 残り時間は既に30分を切っている。
 一回跳ぶのに1秒かかるとして、500回だから少なくとも500秒。
 つまり、8分20秒は時間が必要だという事だ。
 そろそろ、失敗は許されなくなってきているというのに、
 僕達は未だに半分の250回の跳躍すら成功していなかった。
 ちなみに今までの最高回数は、87回である。
「お前何ひっかかってんだよ!」
「お前がぶつかってきたからだろうが!」
 ついには、グループ内で喧嘩が起ころうとしていた。
 まずい。
 こうなっては、もう絶対に成功しない。
 実際にこうして長縄跳びをして分かった。
 長縄跳びに必要なのは、高度な個人身体能力ではない。
 確かに500回跳躍出来る程度の、最低限度の身体能力は必要だが、
 ここにいる人間にはそれくらい全員備わっている。
 長縄跳びに必要なのは、本当に必要なものはそんなのもではなく、
 連帯感と信頼感、これだけだ。
 逆を言えば、それがなければ長縄跳びは不可能である。
 個人がいくら強大な能力を持っていようと、関係無い。
 お互いに息を合わせる事が、長縄跳びの秘訣なのだ。
 少しでもタイミングが乱れれば、やがてそれは大きな差異となって、
 体と体がぶつかる、跳び越せると思った筈のロープに足が引っかかるといった形で、失敗に結びつく。
 20回や30回なら、そんな少しの乱れなど押し通せるのかもしれないが、
 500回という膨大な回数の前では、致命傷だ。
 ようやく理解出来た。
 この一件遊びのような試験で、何を試されているのか。
 始めて会ったばかりの見ず知らずの人間とチームを組んでも、
 一定の成果を挙げる能力があるかどうか。
 『ハンター』の仕事をしている上で、突然誰かと協力関係にならねばならない事なんて、
 当然のようにありうるだろう。
 その時、「こいつとは知り合いじゃないから実力が発揮し難い」なんてのは、
 言い訳にすらなりはしない。
 いつ、どこで、どんな奴とでもチームワークを発揮できる柔軟さ。
 それをこの試験では試されているのだ。
 しかしそれは言うほど簡単なものではない。
 少なくとも、今ここでそれを求めるのはかなり厳しい。
 何故なら、今ここで一緒に長縄跳びをしているのは、
 次の試験では敵になりうる連中なのである。
 昨日の敵は今日の友ならぬ、今日の友は明日の敵。
 自分の障害になるかもしれない人間と協力関係を結ぶなど、
 少しでも頭が回る奴なら躊躇うのが当然だ。
 だからこそ、だからこその―――『試験』か。
 ギコが言った『意地の悪い試験』というのは、こういう意味だったのか。
「お前の所為で不合格になるだろうが!」
「ああ!? 自分の無能を棚に上げるなよ!」
 今にも、取っ組み合いになってしまいそうだった。
 駄目だ。
 これでは、試験官の思う壺じゃないか。
 でも、どうすればいい。
 無理矢理喧嘩を止めたって、わだかまりが残っては根本的な解決にはならない。
 また失敗するのが落ちである。
 だけど、このままでは全員仲良く失格だ。
 そんなところだけ仲良く一緒になってもしょうがない。
 ああ、畜生。
 本当にどうすれば―――


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