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念を使わせてみよう小説スレッド

1811:2004/12/22(水) 01:04

「でもな、殺した後にはきっちり後悔するんだ。
 何で俺まだ生きてるんだろーなー、って。
 何で死なないのかなー、って。
 そう考えてしまうんだ。
 それでも俺はこれからも殺し続けるだろう。
 死ぬまでずっと、殺し続けるだろう。
 そして…」
 ギコが、僕の目を正面から見据えた。
「多分お前も、同じ道を歩む。
 お前が正しく、俺の複製品としての運命の元生まれてきたというならな。
 俺と同じで、偽物の運命を辿る筈だ」
 きっぱりと、ギコは言い切った。
 何の疑いも無く。
 何の迷いも無く。
「…まるで、自分の事のように言うんだな」
 僕は言った。
 何て、戯言。
「自分の事、だろ?」
 シニカルにギコは笑う。
 全くその通りだ。
 こいつの事は、一から十まで僕自身の事だった。
「俺はね、漠然とながら感じているんだよ。
 お前が俺の真似をするという運命を感じたように、俺自身の運命も。
 俺は、ある定められた誰かを殺す為に生まれてきた。
 それが誰なのかは、分からない。
 でも、確信できるんだ。
 世界は俺に、そいつを殺させる為に俺を創り出した、と。
 だから殺す。
 それが分かるまで、殺し続ける。
 そしてお前はそんな俺の代用品だ。
 だから殺す。
 お前は殺し続ける。
 それが自分で手を下すかどうかは別として、お前は殺し続ける。
 死ぬぞ。
 もっと死ぬぞ。
 俺やお前の周りでは、人がどんどん死んでいくぞ。
 俺もお前も、そういう運命の下に生まれて来たんだ。
 望むに望まぬに関わらず、死と殺しは常に俺達の傍に在る」
 何だ。
 何なんだこいつは。
 いや、こいつが、こいつこそが、そうだというのか。
 こんな歪な化物が、僕の原型だというのか。
 『誰か』を殺す為―――
 それは一体、誰だっていうんだよ。
「…僕以外で、君に良く似た人間を一人、知っている」
 僕の意思とは無関係に、僕の口が勝手にその言葉を紡いだ。
「へえ?
 お前以外にも、俺のそっくりさんはいたんだ」
「…似ている、と言っても、僕のとは性質が違うけどね。
 僕は君と魂の形が似ているとするならば、
 その人は、魂の向いている向きが似ている」
 ギコはまるで、
 そう、ギコはまるで―――

 ―――狐さんと、同じような。

「はん、どこのどいつかは知らねえが、そりゃけったいな奴とお知り合いだな。
 差し出がましいだろうが、そんな奴とは縁を切るのをお勧めするぜ。
 でなきゃ、そいつはいつかお前を殺しにくるだろうからよ」
 ギコは「くっく」と含み笑いを漏らした。
 ギコの言う通りだ。
 実際、僕は狐さんに殺されかかっている。
「ま、お前がそいつを、殺すかもしれねーけどな」
 ギコは付け加えた。
 だがしかし、その可能性は絶無と言って差し支えないだろう。
 あんな人を殺すなど、核ミサイルでも使わなければ不可能だ。

「……!」
 と、ようやくエレベーターが動きを止めた。
「いよいよって訳だな…」
 ギコが低い声で呟く。
 そして、エレベーターのドアがゆっくりと開いていき―――


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