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念を使わせてみよう小説スレッド
174
:
1
:2004/12/15(水) 18:42
「お。
おい、あれ見てみろよ」
と、ギコが小声で僕に話しかけながら、遠くの方の席を指差した。
「あの人がどうかしたのか?」
そこには、女子高生らしい女の子が座っていた。
向こうは、僕達の視線には気づいていないらしい。
「お前の目は節穴か。
あの胸を見て、お前は何も感じないのか?」
成る程、確かにあの女子高生の胸は大きい。
だがしかし、それがどうしたというのだろう。
「別に、何も。
僕はCカップ以上のバストには、何ら興味が湧かないんでね」
「お前は馬鹿か!?
おっきい胸の中にはな、夢とか希望とか愛が、一杯詰まってるんだよゴルァ!」
こいつ、巨乳マニアだったのか。
ならばとてつもなくどうしようもなく、こいつは真っ向から僕の敵だ。
「ただ大きければいいなんて滑稽だね。
重要なのは形さ。
何より、あの子は僕達と同じ年齢かそれ以下だ。
僕としては、年上のお姉さんでなきゃホームランは打てない」
「はあ!?
お前男なら年下だろうが!
日本人はロリコンって統計も出てるんだぞ!?」
激昂するギコ。
どうやら、向こうにも譲るつもりは無いらしい。
「そんなにブルセラがしたいかこの変態め。
未成年強制猥褻罪で逮捕されとけ」
そしてそのまま獄死しろ。
年上貧乳の素晴らしさが分からない奴に、生きている価値など無い。
「…どうやら、俺とお前とは本質的に相容れないようだな」
「全くだ。
僕は君の偽物として生まれてきたのだ、
なんて一瞬でも考えてしまった僕の愚かさが悔やまれてならない」
こんなロリコン巨乳オタが、僕のオリジナルなんかである筈がない。
というか、そうであってくれ。
「はッ、負け惜しみを。
せいぜい今のうちに虚勢を張っておくんだなゴルァ」
「そっちこそ。
僕の恋人を見たら、きっと腰抜かすぞ」
「!?
お前、彼女いたのか!?」
ギコが眼を見開いて仰天した。
「? そんなに驚くような事か?」
正確には、恋人未満な訳だが。
まあ、狐さんが居ない時くらい少しホラを吹いてもバチは当たらないだろう。
「いや、当然だろうが。
何で、俺みたいな人間であるお前に、彼女なんて居るんだ?
そんなのは、決してありえない事だぞ?」
「どうしてだよ」
「俺みたいな奴が誰かを本当に好きになったら、必ずそいつを殺すからさ」
まるでさも当たり前の事のように、ギコは平然と言い放った。
「無茶を言うな、君は。
好きになったらその人を殺すなんて、まるで―――」
まるで、狐さんみたいじゃないか。
「言っとくが、これは大げさな冗談でも何でもねえぞ?
俺には分かるし、お前も分かってるんだろうが。
お前が深く関わろうとした奴は例外無く死ぬし、それが無理なら、お前自身が死ぬ。
なのに何で、お前にゃ彼女なんてのがいるんだ?」
「……」
そんな、馬鹿な。
確かに僕は周りにいた人を大勢殺してしまったが、別に殺したかった訳じゃあない。
…本当に、そうなのか?
僕が気づいてないだけで、心の底ではそんな感情が無かったと言えるのか?
いや、もしかしたら、そんな感情すら無くても、僕は殺せてしまうというのか?
さながら、狐さんのように―――
「ま、もしかしたら俺の思い過ごしかもしれないがな。
人の心なんてえのは、そう簡単に解明出来るもんでもないし、
何より俺とお前とが、完全完璧に同じな訳でもねえ。
鏡ってーのは、対象とそのまま同じ像を写すものじゃないからな」
左右対称。
あべこべな鏡合わせ。
鏡像はあくまで実像とそっくりなだけであって、実像そのものではない。
「…と、そろそろ時間だな。
そんじゃま、話の続きは試験会場についてからにしようぜ」
ギコが最後のポテトを口に放り込んで立ち上がった。
時計の針は12時20分を刺している。
ここから歩けば、時間的には丁度いい位か。
「ああ、そうだ。
最後に質問がある」
おもむろに、ギコは僕に向き直って訊ねた。
「裸エプロンと裸ワイシャツ、どっちが好みだ?」
「裸エプロン」
僕は即答した。
「…やっぱり、お前とは永遠に分かり合えそうにねえな、ゴルァ」
どうやらギコは裸ワイシャツがお好きなようだった。
この変態め。
〜続く〜
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