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念を使わせてみよう小説スレッド
169
:
1
:2004/12/15(水) 00:42
「……」
僕はゆっくりと意識を取り戻した。
ここは…僕の部屋か。
どうやら気絶してる間に、狐さんがここまで運んで来てくれたようだ。
「お、起きたか少年」
狐さんが枕元から僕の顔を覗き込む。
「…おはようございます」
僕はのそのそと起き上がろうとしたが、体中から襲い掛かる激しい痛みに断念せざるを得なかった。
頭がガンガンする。
右腕と左腕、それから左足が骨が折れたみたいに痛い。
いや、実際骨が折れているんだけどね。
「…やれやれ」
僕は溜息をつきながら、『無貌の仮面(ドッペルゲンガー)』を発動させた。
―――全工程終了
―――発動、『劣化複製・間黒男(ブラックジャック)』
ツギハギ顔の医師が、僕の負傷部分を高速でオペし治療する。
この前モラックジャック先生の念能力で治療した時に覚えた念だ。
一度この目でみれば、どんな能力でも僕はコピー出来る。
まあ本家本元モラックジャック先生のように、
千切れた腕まで完璧に修復するのは無理だけど、
骨折程度の怪我なら僕の劣化コピーでも2、3日で完全に治癒が可能だ。
「いつみても便利な能力だな」
狐さんが感心したように呟く。
「…所詮猿真似ですよ」
そう。
こんなの、全く意味なんて無い。
本物の前では、僕の存在価値など皆無に等しい。
「で、今日の手応えはどうでしたか?」
僕は狐さんに訊ねた。
「全然駄目。 弱いにも程がある。
これじゃあ君が俺に殺されないぐらい強くなるってのは、夢のような話だね」
「…そっすか」
ぐはあ。
そんなにはっきり言わなくても。
いや、確かに手も足も出なかったけどさあ。
「てか狐さん。
僕としては、そろそろ映画館とか遊園地とか、普通のデートがしたいのですが」
狐さんに文字通り命懸けの告白をしてから早2ヶ月。
しかし、僕と狐さんとの関係には全くと言っていい程進展は無かった。
狐さんにはハンターの仕事があるから、毎日逢うわけにはいかないし、
たまにこうして一緒になれても、やる事といったら今日みたいな組み手や地獄のようなトレーニング。
「狐さんに殺されないぐらい強くなる」と宣言した手前断るわけにもいかないのだが、
いかんせんそろそろ手を繋ぐとかそういうステップを踏んでもよいのではなかろうか。
「だから前から言ってるだろ。
俺に一発でもマトモに攻撃を当てる事が出来たら、ちゅーでも何でもしてやるって」
それは事実上不可能だ。
例えるならペンギンが空を飛ぶって事くらいに。
「…やっぱ、僕には才能無いんですかね」
「そういう台詞を口にする資格があるのは、血反吐吐くまで努力した奴だけだ。
今度そういう事を言ったら、俺は怒るぞ」
真剣な眼差しで、狐さんが僕を叱る。
そうだ。
僕はまだたった2ヶ月かそこらしか狐さんに稽古をつけてもらってないのに、
何を早まった事を言ってしまったのだろう。
「…ごめんなさい」
僕は狐さんに謝った。
「分かればよろしい」
狐さんが微笑む。
「まあ、だけど見込みが無いってわけでもないよ。
むしろ戦闘センスにしては上等な方さ。
ただ、君には一つ、致命的な欠点がある」
致命的な欠点?
何だ、それは。
「分からないか。 なら教えてやるよ。
君には、死に対する恐怖が欠けている」
狐さんが僕を見据えて、言った。
「君は心のどこかで、自分なんて死んでも構わないやって思ってしまっている。
これはかなり危険だ。
死神は、そういう奴から真っ先に首を掻き切りに来る」
死んでもいいや。
確かに、そう思っているのかもしれない。
僕の所為で、何人もの人が死んだ。
だから僕に、生きている価値など微塵も無い。
「…いいか、少年。
自分の命を軽んじるな。
自分の命を軽視するってのは、つまりは他者の命まで軽視するって事だ。
君には、そうなって欲しくない」
狐さんが諭すように僕に告げる。
「命を軽視するってのは、簡単に殺すって事だ。
だけど、そんなのは強さじゃない。
躊躇無く人を殺す事は、簡単に自分の命を投げ出す事は、力ではあっても強さじゃない。
『強い』という事と、『力がある』という事は、似ているようで全然違う。
君は絶対に強くなる。 俺が保証する。
だから、負けるな」
負けないという事。
それはある意味勝つより難しい。
それでも僕は負けてはならないのだろう。
僕が殺してしまった、人達の為にも。
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