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念を使わせてみよう小説スレッド
159
:
1
:2004/12/08(水) 23:45
「……!」
狐さんの右腕が、僕の腹を貫いた。
目が霞み、口から血が流れる。
「!!
お、俺は―――」
狐さんがたじろいだ声を上げる。
どうやら、狐さんの意思とは無関係に、反射的に手が出てしまったらしい。
成る程、確かに僕を殺すというのは、はったりでも何でも無かったようだ。
だけど。
それでも、僕は、まだ生きている。
「…どうしました?
僕はまだ、死んでなんかいませんよ?」
出来るだけいつもと同じような声で、僕は狐さんに言った。
痛みは感じない。
偽物の心と体だから、本物の痛みなんて感じない。
「馬鹿か君は!!
死ぬぞ!! 本当に死ぬんだぞ!!」
狐さんが叫ぶ。
もう、泣くのを堪えようともしない。
僕の腹部に腕を突き刺したまま、狐さんは子供のように泣きじゃくっていた。
「だったら、早く殺したらどうですか?
僕はまだ生きてるんですよ?
それともあなたの言う殺すってのは、
こんなちっぽけな怪我をさせる事を言うんですか?」
「――――――!」
実際には全然ちぽっけな怪我なんかじゃないのだけれど。
僕はそれでも得意げにそう言った。
僕だって男だ。
やせ我慢の一つや二つぐらい、やってみせる。
「僕は、あなたに殺されたりなんかしない」
言いながら、僕は狐さんを抱きしめた。
腕を腹に突き刺している為、狐さんには逃れる術は無い。
これぞまさしく怪我の功名というやつだろう。
「やめろ!
放せ! 放せえ!!」
狐さんが僕の腕を振り解こうともがく。
放すものか。
絶対に、放したりするものか。
「放して欲しいなら、僕を殺せばいい。
あなたにとっては、簡単な事なんでしょう?」
「……!」
腕に鈍い痛みが走る。
それと同時に、両肩から先の感覚が全く無くなった。
狐さんに、両腕をもぎ取られたからだ。
だけど、僕はまだ、生きている。
「…それで終わりですか?」
僕は狐さんに訊ねた。
こんなもの、モナカさんやしぇりーちゃん、それから僕の家族が受けた苦しみに比べれば、大した事なんてない。
「―――!」
狐さんがよろよろと後ずさる。
多分、狐さんを後ろに下がらせた人間は、僕が史上初だろう。
「ほら、どうしました?
僕を殺すんじゃあ、なかったんですか?
だったら早く…」
そこで、僕は勢いよく地面に倒れた。
ああ、そうか。
痛みには耐えれても、出血多量による意識喪失だけは防げない。
その事を、すっかりと忘れていた。
「●●●●! ●●●●●●●!」
狐さんが何か言っているみたいだが、上手く聞き取れない。
最悪だ。
あれだけ格好つけて、結局死ぬのかよ。
「 、 。 」
もう、何も聞こえない。
死ぬのか、ここで。
ああ、畜生。
死にたくないなあ。
死にたくないなあ。
「 。 」
僕が死んだら、狐さんはしぇりーちゃんが死んだ時みたいに悲しんでくれるのだろうか。
いいや、出来れば、忘れて欲しいな。
僕なんかと事で、この人に悲しい思いなんてして欲しくないから。
僕は狐さんの事を好き。
それだけで、僕は―――
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