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念を使わせてみよう小説スレッド
153
:
1
:2004/12/08(水) 02:42
「…君は」
狐さんが小さく呟くように言った。
「君は、もう二度と戻れなくなった。
君が生きている限り、殺したという罪悪感は、君を責め続けるだろう。
君は一生、君を許す事など出来はしないだろう」
死ぬまで、いいや多分死んでからも、永遠に圧し掛かり続ける罪。
逃れられぬ罰。
僕の心に刻まれた十字架。
「君は人殺しだ。
それは、どんな理由があったところで、その事実だけは決して消えはしない。
君はこれからずっと、人殺しとして生きていかねばならない。
人に軽蔑され、忌避されながら生きていかねばならない」
人殺し。
大罪を犯した者。
最低最悪の外道。
分かっている。
そんな事は分かりきっていた筈なのに。
誰も救えなかった。
誰も守れなかった。
誰も助けられなかった。
皆を傷つけ、殺してしまった。
僕には、何一つ出来なかった。
何にも、何にも出来なかったんだ…!
「でも」
狐さんが振り向いて、僕に顔を向けた。
「でも、俺は許してやる。
俺だけは、君を許してやる。
俺は知っているから。
君の心の中には、そこには確かに君だけの殺す理由があった事を、知っているから。
それがこの世界のどんな正義よりも尊いものだったという事を、俺は知っているから。
俺だけは、それを知っているから」
狐さんが微笑む。
優しそうに。
悲しそうに。
そんなふうに、微笑んだ。
「それだけを以ってして、俺は君を肯定する。
例え世界が君を敵と見なそうと、俺は君の味方でいる。
もし君が人を殺した事で君を罵る奴がいるならば、俺はそいつをぶっ殺す」
―――――――!
多分、その時僕は泣いていたのだろう。
嬉しかったから。
悲しかったから。
だから、泣いていたのだろう。
「だから、自分を殺したいなんて言うな。
どれだけ人から蔑まれても、どれだけ自分を許せなくても、君は生きろ。
…もう、これ以上友達が死ぬなんて、俺は嫌だ」
ああ、だから。
だから、僕は、この人が。
僕は、この人を―――
「…狐さん」
「何だい?」
多分これが、最初で最後の僕の言葉。
誰かの真似なんかじゃない、何かの偽物なんかじゃない、
僕自身の心からの言葉。
「僕は、あなたが好きです」
〜続く〜
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