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念を使わせてみよう小説スレッド

1481:2004/12/08(水) 02:40
 〜二十六話〜

 僕は仰向けになって倒れていた。
 鼻血が出ているのか、鼻から息が出来なくて苦しい。
 頭がガンガンする。
 吐き気が止まらない。
 手足が無くなったように動かない。
 僕、どうしてこうなってるんだっけ?
 そうだ、確か一人で『冥界の支配者』の所までやってきて、戦って、それで…

「せーー、のお」
 『冥界の支配者』が、笑みを浮かべながら大きくハンマーを振りかぶる。
「!!!」
 左足の太ももに、太い杭をハンマーで打ち込まれた。
 ああ、そうだ。
 思い出してきた。
 結局『冥界の支配者』には手も足も出なくって、それで無様にも負けちゃったんだ。
 それで、今拷問を受けている所だったんだ。
「もういっちょお」
「!!!」
 もう一度杭にハンマーが叩きつけられ、杭が足に更に深々と突き刺さる。
 悲鳴は上げない。
 悲鳴を上げたところで『冥界の支配者』を喜ばせるだけだし、
 偽物の心と体だから本物の痛みなど感じはしない。
「…いや、本当に我慢強い人だ。
 私が言うのもなんですが、尊敬すらしてしまいますよ」
 言いながら、『冥界の支配者』はさらに深く杭を打ち込んだ。
 痛くはない。
 こんな痛み、家族やしぇりーちゃんのものに比べたら、屁みたいなものだ。
「さて、いつまでも同じ事を繰り返すのも芸がありませんしね…」
 『冥界の支配者』が何やら戸棚をゴソゴソと探す。
 あれは…トンカチに釘、か?
「これで何をする、か。 正解はこれです」
 僕の指先の爪の間に、釘の先端が当てられた。
 次の瞬間、トンカチでその釘を爪の間の奥へと突き刺される。
「…!!」
 流石にこれはかなり嫌な気分がした。
 でも、問題無い。
 偽物の体だから、何も感じない。
 偽物の心だから、何も感じない。
 程無くして左右の手と足の爪全てに、計20本の釘が突き立てられた。
「おやおやおや。
 おやおやおやおやおやおや。
 命乞いの一つや二つくらい、して下さいよ。
 これじゃあ、全然面白くないじゃないですか」
 呆れたふうに、『冥界の支配者』は肩を竦める。
 命乞いなどするものか。
 死を覚悟したりするものか。
 僕が考えるのはただ一つ。
 お前を、確実に、殺す事だ。
「どうしましたどうしましたどうしました。
 私を殺す為にここまで来たのでしょう?
 ならばもっと頑張ってみてはいかがですか?」
 『冥界の支配者』は笑う。
「………な」
「?
 何です?
 はっきり言ってくれないと聞こえませんよ?」
「もうそれ以上口を開けて喋るな。 息が臭いんだよ」
「…ほう、まだまだ元気なようだ」
 『冥界の支配者』が顔を歪め、僕の太ももに刺さった杭をその足で踏みつけた。
 そして足の裏でグリグリと、抉るように杭を刺しこむ。
「しかし残念でしたね。
 折角勇気を振り絞って、私と一騎打ちを仕掛けに来たのに。
 これでは全くの無駄死にだ。
 君は、君の家族や『人吊』の少女の仇を討つ事が出来なかった。
 ははははは。
 いつの世も正義が勝つとは限らないのですよ」
 正義が常に勝つとは限らない。
 全く持ってその通りだ。
 この世で最後まで生き残るのは、正義の味方の勇者なんかじゃない。
 自分が生きる為ならいくらでも邪悪になれる、ただの悪党だ。


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