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念を使わせてみよう小説スレッド

1431:2004/12/06(月) 00:50

「くっく… 君は本当に興味深い人材だ。 期待以上だ」
 愉快そうに、『冥界の支配者』は声を立てて笑った。
「君にはどうやら、一種の才能があるらしい。
 いや、きっとある。 私が保障しよう。
 君は、自分の周囲に混沌を引き寄せる天才だ。
 まさに君は、運命における台風の目だ」
 成る程。
 それは実に的を射た表現だ。
 台風は周りを巻き込んで傷つけるが、中心である台風の目だけは全く風が無い。
 災害の中心である自分だけは、傷つかない。
 まるで、今回の事件における僕のように。
 最悪の卑怯者で偽物な、僕のように。
「どうです、私と手を組みませんか?
 色々と行き違いもありましたが、どうやら私と君とは仲良くするべき人間のようだ。
 君なら、うまくすれば『妖滅』はおろか『外法狐』にすら匹敵出来るようになる。
 君の才能を、こんな所で失うのは惜しい」
 『冥界の支配者』がその手を僕に差し出した。
 だけど、僕はこの手を握りなどしない。
 そんな事をすれば、僕は一生僕を許せなくなるから。
 僕が、僕を殺してしまうから。
 僕を殺していいのは、僕が傷つけてしまった人だけだ。
 だから、僕はこんな所で僕で僕を殺す訳にはいかない!
「寝言は寝てから言え」
 吐き捨てるように、僕は告げた。
「そうですか…」
 『冥界の支配者』は残念そうに肩を竦め…

「!!!」
 気がついたら、僕は勢いよく壁に叩きつけられていた。
 『冥界の支配者』の前蹴りが、僕の鳩尾に深くヒットしたのだ。
 遅れて腹部にとてつもない痛みが走る。
 用心に『劣化複製・不死身の肉体』を発動させていなければ、お腹に大穴が開いていた事だろう。
「アテが外れたみたいですね。
 操作系の能力者なら、肉弾戦に弱いとでも?
 『禍つ名』の二位、『魔断』であるこの私に、念を覚えたての君が勝てるとでも?」
 倒れた僕を『冥界の支配者』が見下ろす。
 強い。
 『禍つ名』という事で、ある程度の戦闘能力は覚悟していたが、予想以上だ。
 だけど、逃げる訳にはいかない。
 こいつは、今ここで、僕が殺す。
「どうします?
 今ならまだ前言の撤回が有効ですよ?
 私の仲間になるというなら、殺しはしません」
 ふざけるな。
 何度聞かれようと、答えは一緒だ。
 口の中に鉄の味が広がる。
 血だ。
 さっきの前蹴りで、内臓にもダメージがいったらしい。
 でも、僕はまだ生きている。
 僕はまだ戦える。
「遺言のつもりなら、もっと気の利いた台詞を考えるんだな…!」
 口に溜まった血と共にその言葉を吐き出し、僕は立ち上がった。
 上等だ。
 やってやる。
 今まで安全圏にばっかりいたんだ。
 この程度の痛み、その代償には丁度いい。
「やれやれ…
 どうやら、死ななければ分からないらしい」
 『冥界の支配者』がわざとらしく溜息をつく。
 それに構わず、僕は奴目掛けて突っ込んでいった。


                    〜続く〜


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