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念を使わせてみよう小説スレッド

1421:2004/12/06(月) 00:50

「…ははッ」
 もう一度、『冥界の支配者』は笑った。
「そこまでお見通しでしたか。
 いや、テストならば80点を与えたいくらいですね」
 やっぱりこいつの筋書き通りだったか。
 薄々感づいてはいたが、こうまでこいつの予想と違わず動かされていたかと思うと正直腹が立つ。
「…あなたに『共犯者』さんがいるのも分かっていますよ。
 今頃、狐さんがそいつを殺している所でしょう」
「何と。 そこまで解を導いていたとは。
 さっきの発言は訂正ですね。
 80点なんてものじゃない、100点満点です」
 『冥界の支配者』はパチパチと手を叩きながら言った。
「…何で、こんな事をしたんですか」
「何で? 人を殺すのに、そんなに大層な理由が必要ですか?
 ちょっと人が殺したくなったから、『共犯者』と共に私の能力で人を殺した。
 で、そんな時に偶々君が事件に巻き込まれたから、
 面白そうだと思って君や君の回りの人間を殺してみようと思った。
 強いて言えば、退屈だったから、これが理由の全てですね」
 そんな理由で。
 そんな理由でお前は人を殺したのか。
 そんな理由であの人達は殺されたのか。
 こいつは、こいつだけは―――
「…僕は、あなたを許しません」
 僕はありったけの憎しみを込めて、言った。
「許さなければ、どうすると?」
 『冥界の支配者』は嘲るように訊ねる。
 それに対する答えなど、たった一つ。
「―――殺す」
 殺す。
 己の為に、殺す。
 己の怒りの為に、殺す。
 こいつだけは許せない。
 こいつが一秒だって長生きするのが許せない。
 こいつだけは、僕が、この手で、殺す…!
「あはははは! それは勇ましい事で!
 で、あなたは私を殺してどうすると?
 それで、死んだ人間が生き返るとでもいうのですか?
 私がヒロイン役なら、『殺すなんていけない!』とか、
 『憎しみは何も生まないわ!』とでも言いたいですね!」
「そうだ。
 お前を殺したって、誰も生き返らない。
 僕の家族も、モナカさんも、しぇりーちゃんも、誰も生き返らないんだ。
 もう、あの人達は戻って来ないんだ…!」
 殺す事が悪だというならば、罪を許す事が善ならば、
 これから僕のする事は、紛れも無い悪なのだろう。
 だけど。
 だけどそれでも。
 僕はあいつが許せない。
 憎くて恨めしくて、殺してやりたい。
 だから僕は悪人でいい。
 こんな外道にまで生きる価値があるとするのが正義なら、
 僕はそんな正義などこちらから願い下げだ…!
「大体、君が一方的に被害者ぶるのは筋違いなんじゃないのかい?
 君の周りの人間が死んだ原因の一端は、君にもあるのだよ、タカラギコ君」
 『共犯者』を見るような目で、『冥界の支配者』は僕に言った。
「…その通りですよ。
 皆が死んだのは、他でもない僕の責任だ。
 だから、僕は一人でここに来た。
 あなたの読み通り、『留守番をしておく』と狐さんに嘘をついて、ここに来た」
 『冥界の支配者』を見据え、僕は一歩前に出る。
「僕の所為で人が死んだのに、僕は自分の手すら汚していない。
 あなたも、自分の手を汚していない。
 だからここに来た。
 同じ卑怯者どうし、最後ぐらいは自分自身で戦おうじゃないですか」
 皮肉なものだ。
 立場は違えど、僕と『冥界の支配者』にはそんな共通点があったのだから。
 僕達は自分で直接手を下さないまま、人を殺してきたのだ。


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