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念を使わせてみよう小説スレッド

1401:2004/12/06(月) 00:49
 〜二十四話〜

 嘘には、良い嘘と悪い嘘があると言われている。
 だとすれば、僕が狐さんについた嘘は、きっと悪い嘘なのだろう。
 今から30分程前に、僕がついた嘘。
 それは狐さんの想いを裏切るものなのだろう。
 それでも、僕は後悔していない。
 後悔してはならない。
 皆死んだ。
 お父さんもお母さんもおじいちゃんもおばあちゃんもモナカさんもしぇりーちゃんも、
 皆みんなミンナ死んでしまった。
 だから、これは僕がきっちりと幕を下ろさねばならない。
 僕の手で、決着をつけなければならない。
 これは、僕の罪であり、罰だ…!

「……」
 しぇりーちゃんが死んでから二時間足らず。
 僕は、とある家の前に立っていた。
 回りに人がいないかどうか確認し、『目的地』である家のインターホンを押す。
 幸い郊外に一戸建てという立地条件なので、多少騒ぎが起こっても問題は無さそうだ。
「おや、タカラギコ君ではないですか」
 そいつはそ知らぬ顔で僕に声をかけた。
「こんな夜遅くにどうしました?
 まあ、とにかく上がりなさい」
 そいつは僕を家の中に迎え入れる。
 分かっている。
 これは罠だ。
 それでも、僕は敢えてその誘いに乗った。
 それくらいの事は、覚悟していた。
 そいつに導かれるまま、僕は応接間へと足を運ぶ。
「待っていて下さい。
 今、お茶を淹れてき…」
「お遊戯会はもう終わりにしませんか」
 応接間から出ようとするそいつに、僕は言った。
「…?
 言っている意味が、よく分かりませんが…」
「全部、あなたの仕業という事は予測がついています。
 いや、あなたとしか考えられない」
 そいつを睨んだまま、僕は糾弾を続ける。
 向こうだって、僕がこの為にここに来た事くらいは予想していた筈だ。
 言ってみれば、この告発など儀式みたいなものである。
 そう、これから始まる殺し合いの場を整える為の、儀式。
「僕の家族が殺された時、
 『僕の事をよく知ってる人間』と犯人は電話で言っていました。
 つまり、僕と少なからず関わりを持っている人物だと、誰でも思います。
 勿論、その時はただ混乱を招かせる為だけの冗談とも考えていました。
 だけど、モナカさんが誘拐されて、生ける死人にされた時、それは確信に変わりました。
 『冥界の支配者』は、僕の近くにいる人物だ、と。
 だからこそ、僕がより自己嫌悪に浸れるような手口で、僕をいたぶる事が出来た」
 僕をネチネチといたぶる。
 そんな為だけに、家族もモナカさんもしぇりーちゃんも、殺されたのだ。
「何より、モナカさんがあんなにタイミングよく襲ってくるなんて、どう考えてもおかしい。
 モナカさんが誘拐された→その日のうちにモナカさんが生ける死人となって発見される、なんてのは、
 三文小説でもない限り、現実にはありえない。
 お膳立てが整い過ぎている。
 そして―――」
 僕はすっと指を上げ、そいつを指差した。
「僕にモナカさんが行方不明になったと教えたのは、あなたでしたよね。 おとうふ先生」
 二丁目冬夫。
 僕の学校の生物教師。
 こいつこそが、一連の事件の黒幕だった。


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