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念を使わせてみよう小説スレッド
14
:
1
:2004/11/11(木) 17:42
「何だ、藪から棒に情けない声出して」
狐さんが呆れたように言う。
「む、む、む、蟲。
今、耳から蟲が…!」
震える手で殺人鬼の耳元で蠢く蟲を指差す。
狐さん、あれ見て何とも思わないのか?
「……!」
その時、狐さんの目付きが変わった。
何だ?
僕、何かおかしい事言ったか?
「『視える』のか、『あれ』が…!?」
低い声で僕に尋ねる狐さん。僕はそれに頷く事で答える。
「…はッ、くっくっく… あはははは!
成る程成る程、こういう落ちがつくか」
愉快そうに狐さんが笑う。
前からおかしいとは思っていたが、この人ついに狂ったか?
「!!」
と、いきなり狐さんは僕の肩を両手で掴んだ。
そして僕の顔をぐいと眼前まで引き寄せる。
「いいだろう、少年。 君は遅かれ早かれ選択の場面に出くわす人間だったのか。
さっきの『世の中には関わらない方がいい世界が、確実に存在するし、君には関わる資格は無い』、
という発言だが、すまない、あれは訂正しよう。
どうやら俺は君を見くびっていたようだ」
何を言ってるんだこの人は。
何が言いたいんだこの人は。
分からない。
一体全体十把一絡げ一から十まで分からない。
「いいか、今君は人生の転機を迎えた。
君は選択しなければならなくなった。
そして君には選択する権利と義務がある。
このまま日常に埋没するか、日常に放逐されるか。
二つに一つ。 右か左か、上か下か、赤か黒か、死ぬか生きるかだ。
逃避は許されない。 逃亡は許されない。 逃走は許されない。
これは君の選択だ。 君の人生だ。 君が選んで君が決めろ」
狐さんが僕の肩から手を離す。
そして、おもむろに地面の石を一つ拾って放り投げた。
メジャーリーガーも顔負けの速度で石は投擲され、瞬く間に視界の外へと行ってしまう。
「ああ、今のは気にしなくていい。 ちょっと鼠を追い払っただけだ。
尤も仕留められはしなかったろうが…」
鼠?
そんなのがあんな向こうにいたと言うのか?
「さて、ここからが本題だ、少年。
もし君が日常を失ってもいいのなら、非日常に抗う事を選ぶのなら、
今日君と一緒に遊んだゲームセンターに、今日と同じ時間に来るんだ。
そうすれば、全てとは言わないが教えてやろう。
今日、君が今ここで見たものの本質というやつを。
言っておくがこれは強制じゃないぞ。
君にその気が無いのなら、悪い事は言わない。 来るのはやめておけ。
生半可な覚悟で歩んでいい道じゃないし、そうすれば人としての幸せの幾つかも失わずにすむ。
いいか、忘れるなよ。 これは君が決める事なんだぞ」
それだけを一方的に告げると、狐さんは身を翻して跳躍した。
有に10メートルはあろうかという距離を助走無しで跳躍して着地。
そして背中はこちらに向けたまま、その端正な顔だけを僕の方に振り返らせる。
「じゃあな、少年。 なかなか楽しかったが、今日はこれでお開きだ。
君にその気があるならまた逢おう」
そう言い残し、狐さんは夜の闇へと姿を消した。
ポツンと、その場に僕と殺人鬼の死体だけが残される。
不気味な程の静けさだけが、そこには漂っていた。
「…結局何だったんだよ、あの人は」
考えるだけ無駄とは分かりつつも、僕はそう自問自答せずにはいられない。
外法狐。
着物姿の俺女。
それはまるで嵐のような奴だった。
〜続く〜
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