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念を使わせてみよう小説スレッド

1391:2004/12/05(日) 02:10

「…悪いな、しぇりー。
 俺なんかの我侭に無理に付き合わせた挙句、死なせちまって」
 何で狐さんが謝るんですか。
 悪いのは、全部僕なのに。
「俺はお前を忘れない。
 お前という友達がいた事を、忘れない。
 …今まで、ありがとう」
 狐さんが、ゆっくりとしぇりーちゃんの亡骸を抱え上げた。
「き、貴様!
 死体をどうするつもりだ!?」
 無事だった警官の一人が、拳銃を抜いて狐さんに銃口を向ける。
「持って帰る。
 こいつを、お前らなんかに好きにいじくり回させやしない」
 しぇりーちゃんを抱えたまま、狐さんは言い放った。
「行くぞ、少年」
 拳銃を向けられているのにも構わず、狐さんはその場を立ち去ろうとした。
「止まれ!
 止まらねば撃つぞ!!」
 警官が銃を構えたまま叫ぶ。
「好きにしろ」
 狐さんは我関せずと進み続けた。
「本当に、撃―――」
 そこで、警官は体を硬直させた。
 狐さんの顔を、直視してしまったからだ。
 今にも泣き出しそうな顔で、しかし触れただけで殺されそうな怒りを瞳に湛えたまま、
 狐さんは自分の唇を血が滲む程にまで強く噛み締めていた。
 撃てば、殺される。
 警官はそう本能的に悟ったのだろう。
 そして、それは多分正しい。
 もう、狐さんを止めれる存在など、この地球上にいはしない。
「…狐さん」
 僕は狐さんの背中に声をかけた。
 これで、はっきりした。
 これで全ての点は線に繋がった。
 真っ二つに切り裂かれた時計。
 輪切りになった男の死体。
 腕を斬られ、胸を貫かれて殺されたしぇりーちゃん。
 僕達の部屋まで襲ってきたモナカさん。
 こうもり傘を咥えていた、しぇりーちゃんのダイイングメッセージ。
 それらが、一つの解を如実に現していた。
「分かってる。
 俺も、そこまで馬鹿じゃない」
 背中を向けたまま、狐さんは言った。
「この落とし前は、兆倍にして返してやる…!」
 狐さんは、怒っていた。
 狐さんは、泣いていた。


                    〜続く〜


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