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念を使わせてみよう小説スレッド
135
:
1
:2004/12/05(日) 02:08
@ @ @
何をどう頑張ろうと、何をどう足掻こうと、何をどう立ち向かおうと、
既にどうしようもない状況というのは時として存在する。
最悪しか選択肢の無い、そんな絶望的な状況というのは、時として存在する。
そんな状況に、僕は今まさに直面していた。
「ギ…ギギイイイイイイイ…」
モナカさんが僕達に半分以上崩れかかった顔を向ける。
まさかとは、思っていた。
だけど、そのまさかと考える事自体が、間違っていたのだ。
『冥界の支配者』に誘拐されたかもしれないという時点で、
モナカさんがどうなってしまうかなど、一つしか考えられないではないか。
だがそれでも、僕は愚かにももしかしたら無事助け出せるのではないか、などと考えてしまっていたのだ。
そして、その僅かな望みも、この目の前の現実によって無残に砕かれた。
「モナカさん…」
僕はほとんど無意識に、モナカさんに歩み寄ろうとした。
ごめん。
謝っても許してはくれないだろうけど、本当にごめんなさい。
僕は君を傷つけたばかりか、巻き込んだ上に殺してしまった。
どれほど君に償おうと、僕は決して許されなどしない。
僕が、許せない。
「…行くな、少年」
狐さんが僕の腕を掴んで引き止める。
「でも…!」
「あいつはもう、お前の知ってるモナカ嬢ちゃんじゃない」
重い声で、狐さんはそう告げた。
違う。
そんな訳ない。
彼女は、紛れも無くモナカさんだ。
どうしようも無いくらいに、正真正銘モナカさんだ…!
「……」
狐さんが、無言のまま拳に気を宿した。
「!!
何をするつもりなんですか!?」
何をするのか。
そんなのは本当は僕にも分かっている。
それでも、僕は問わずにはいられなかった。
「…殺す」
当然の事のように、狐さんは断言した。
「…!
駄目です! お願いだからやめてください! モナカさんは…」
「それじゃあ、このまま生ける屍として放置しておくのが、本当に嬢ちゃんの為なのか?
そうじゃないだろう。
…もう、『冥界の支配者』の呪縛から解放してやるしか、
この嬢ちゃんに救いは残されてないんだ」
視線をモナカさんから外さないまま、狐さんが静かに言う。
殺すしかない。
それはもう誰の目から見ても明らかなのだろう。
それでも、僕は往生際悪く、他の道に縋ろうとしていた。
縋りたかったのだ。
何故だ。
どうして、こうなった。
原因は誰だ?
きっかけは誰だ?
本当に悪いのは誰だったのだ?
それは、恐らく、僕なのだろう。
ならば、せめて―――
「…分かりました。 だったら、それは僕がやります」
僕は狐さんを押しのけ、モナカさんの前に立ちはだかった。
一つだけ残された、僕に出来る事。
それは、他ならぬ僕がモナカさんを殺す事だ。
殺す事の罪を、殺す事の罰を、他ならぬ僕が背負う事だ。
最早それだけしか、僕の償いの術は残されていない。
「…そうか」
狐さんが、悲しそうな顔を僕に見せて―――
「それだけで、十分だ」
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